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 地球温暖化が進むと、日本付近を通過する台風の速度は今より約10%遅くなるという予測結果を、気象庁気象研究所などのグループが発表した。強い風雨にさらされる時間が長くなり、浸水や土砂崩れの被害が大きくなる恐れがあるという。8日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに論文が掲載された。

 気象研の山口宗彦主任研究官らは、今世紀末に地球の平均気温が産業革命前より4度(現在より約3度)上昇するとの想定で、気候の変化をコンピューターを使って推計。日本上空の偏西風が北に押し上げられるなどの影響で台風の進路や速度が変わり、日本列島周辺では平均時速が約10%遅くなるとの結果が出た。例えば東京周辺の平均時速は約31キロで、現在より4キロほど遅くなるという。

 昨年10月に東日本に大きな被害をもたらした台風19号の平均速度も、平年値より約4割遅かった。温暖化が進むと、台風の数は減るものの勢力が強いものが発生しやすくなるとされ、最近の研究では雨が強くなると予測されている。山口さんは「速度が遅くなることで、いっそう降水量が増え、甚大な被害が起こるリスクが高まる」と指摘している。(桑原紀彦)