イランのイスラム革命防衛隊が米軍の駐留するイラクの基地にミサイル攻撃をしてから一夜明けた8日午前、トランプ米大統領は米軍からのさらなる攻撃は避ける考えを示した。イラン外相も「相応の措置をとり、完了した」と表明。中東全体を紛争に巻き込む「全面衝突」の事態は回避された。ただ、トランプ氏の声明の後にイラクの首都バグダッドで、米大使館近くにロケット弾が撃ち込まれるなど、軍事衝突の火種はくすぶり続けている。
ソレイマニ司令官を殺害され、「反撃されればさらなる壊滅的な報復をする」と米国を牽制(けんせい)していたイランも対決姿勢を弱めた。ザリフ外相は8日、「(報復として)相応の措置をとり、完了した。我々は戦争、もしくは緊張は望んでいない」とツイート。同国のハタミ国防相は「今後の対応は米国次第だ」と語った。
米軍が駐留するイラクの空軍基地へのミサイル攻撃に関して、米国側は人的被害はなかったとしたが、イラン国営テレビは80人の米軍関係者が死亡したと主張。司令官の「かたき討ち」に成功したことを国内外にアピールし、成果を誇った。
ただ、米国への対決姿勢は変わらない。最高指導者ハメネイ師は8日、攻撃後の演説で「イランの最終目標は中東における米国の影響を終わらせることだ」として改めて反米姿勢を強調した。イランは、米国による原油全面禁輸などの制裁で経済が大打撃を受けており、市民の政府などへの不満はくすぶり続けている。
偶発的な衝突の危険性も残る…