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 洗濯に使う洗剤の容器が、姿を変えつつある。主流は容器のキャップに液体洗剤を注ぐタイプだが、片手で操作できる「プッシュ型」が目立ってきた。新たなスタンダードになるのか。

 花王は昨年4月、中身も刷新した「アタックZERO(ゼロ)」を売り出した。以前からのボトル型に加えて、片手で握って操作できるプッシュ型を新たに投入した。

 洗濯物の量にあった洗剤の量を片手で調節できるのがウリだ。5回押すと、従来型のボトルキャップ1回分になる。ノズルの先は液だれしにくいラッパ状で、汚れた部分に直接塗りやすい。取っ手はフックのようになっていて、タオルかけなどにかけられる。

 「誰が使っても失敗しない容器」(開発マネジャーの水沢公宏さん)の開発には、5年余りかけた。試作した容器は100個以上。きっかけは利用者の声だ。従来のボトル型について関東の20~80代の計2800人に尋ねると、「量る時にキャップの目盛りが見えにくい」という声や「片手で使えると楽」という指摘があった。

 「アタックZERO」は昨年10月末までにボトル型や詰め替え分もあわせて6200万本を出荷した。一つ前の「アタックNeo」の約2・8倍のペースという。

 売り場を見に行った。

 昨年12月の中旬、東京・大井の「DCMホーマック大井競馬場前店」。花王は希望価格を設けていないが、プッシュ型は通常の洗濯機向けのもの400グラムで税抜き498円。ボトル型が248円で特売されていたこともあり、割高だった。

 「プッシュ型はもう少し広がってからで良いかな」と、30代の主婦。店によると、売り上げの7~8割はボトル型だという。久末嘉之店長は「プッシュ型はスタイリッシュなので目を引くが、値段が高い。後に続く商品がもっと出てくるか注目している」と話す。

 記者も使ってみた。

 洗濯物の量に応じて2~3回押せば終わり。こぼしたり、液だれしてべたつくこともない。一度使うともう戻れない、と感じた。ただ、プッシュ型を買う必要があるのは、最初だけ。2回目からは詰め替え用でいいし、ひょっとしたらほかの洗剤を詰め替えてもいいかも、と思った。

 ライオンは、対抗策に打って出た。「トップ スーパーNANOX」のプッシュ型を昨年11月に売り出した。こちらも片手で操作でき、量る手間を省けたり汚れに直接塗ったりできる。「珍しい透明ボトルなので、詰め替え時にあふれることも防げる」と開発担当者は話す。

 一方、花王やライオンとしのぎを削るP&Gは、プッシュ型をまだ投入していない。広報担当者は「今後の予定でお答えできることはありません」と話す。

 洗剤の容器は、時代とともに形や大きさを変えてきた。

 日本石鹸洗剤工業会によると、洗濯に使う洗剤は2010年の時点では粉末が半分以上を占めたが、18年には2割ほどまで減った。伸びたのは液体洗剤だ。この間、36万トンから56万トンに増えた。

 ライオンが92年に発売した液体洗剤「ハイトップ」は洗濯1回あたり30ミリリットルが必要で、ボトルも2リットル入りを販売していた。技術開発に伴い、10年に売り出した「トップNANOX」は洗濯1回あたりに使う洗剤が10ミリリットルで済む。容器の大きさは450グラム入りになった。

 14年には、P&Gが液体の派生版とも言うべき「ジェルボール」を発売。計量いらずで洗濯機に入れるだけというのがウケて、シェアを伸ばした。(江口英佑)