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 兵庫県の園田(尼崎市)・姫路両競馬場の名物アナウンサー、吉田勝彦さん(82)が9日、引退した。1955年から実況を続け、担当したレースは9万近く。かけ声で競走馬を励ますような「吉田節」でファンから愛された。長年続けてきた背景には大物歌手からの励ましもあった。

 9日、園田競馬場で最後の実況を終えた。最終レース後には引退のセレモニーもあった。「ご苦労さんでした」。多くのファンから声をかけられた。兵庫県競馬出身で、現在は日本中央競馬会(JRA)で活躍する小牧太、岩田康誠両騎手もかけつけた。

 吉田さんは、「やめ時は間違っていなかったのかな。ただ、実況をもうやれなくなっちゃったという実感が切なく頭をかけめぐっています」。

 吉田さんの力のこもった実況の声は長きにわたって、場内に、そしてテレビやインターネットにのって全国へ響いてきた。2014年には「同一競馬場での実況年数の長さ」でギネス世界記録にも認定された。

 かつては全レースを担当したが、体力の衰えを感じ、15年ほど前からは若手2人の出番を増やしてきた。近年は実況しない日もあった。そんな日はきまって場内の警備員や案内係に「吉田さんは今日は実況しないのか」「しゃべるかどうか競馬場の入り口に紙を張り出しといてくれ」などと客からの声が届いた。「そう言われると『俺みたいなもんでも』と、うれしくなった」

 大阪生まれだが疎開先の兵庫県…

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