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 脳科学者の恩蔵(おんぞう)絢子さん(40)が、認知症になった母と暮らす日々を見つめながら、記憶を失ってもその人らしさは失われないのかを考察した本「脳科学者の母が、認知症になる」(河出書房新社)が、静かな反響を呼んでいます。自分や身近な人が認知症になった時、誰しもが悩む問いを考え続けた恩蔵さんは、「母らしさ」をどのように見つけたのでしょうか。

 恩蔵さんは自意識や感情を研究する脳科学者で、大学で講師も務める。父(71)、母(69)と3人で神奈川県で暮らしている。

 社交的で仕事も家事もてきぱきとこなしていた母の様子が変だと感じたのは、65歳の頃。慣れているはずの料理の手順が思い出せなくなり、日付もわからない時があった。

 「まさか母が」。信じたくないという思いを抑え、2015年11月、家族3人で病院に行くと、アルツハイマー型認知症と診断された。

 認知症は誰もがなる可能性があることはわかっていたが、自分の家族とは思いもよらなかった。「大学院の時から13年も脳について研究してきても、家族が認知症になることを防げるわけではないんだ」。無力さも感じた。

 母は診断を受けた後、何もせずぼんやり座っていることが増え、楽しみにしていたコーラスの練習も行かなくなった。

 記憶など認知機能が低下すると、好き嫌いや何が大事かという母の人格、感情まで変わってしまうのか。母の姿を見るのがつらく、恩蔵さんは気持ちをはき出そうと日記をつけ始めた。

 「『母らしさ』って何なんだろう」。次第に、娘として、研究者として、脳科学の視点から「認知症の人の、その人らしさ」はどう説明できるのかを、母のそばで考えたいと思うようになった。介護の現場では、認知症であってもその人らしさはあり、本人を尊重し、本人の立場に立って考えて接するケアが重要であることが知られている。では、脳科学から見たら?

 研究のため、日記に母の様子や会話を詳細に記録した。例えば、こんな記録がある。

 認知症と診断されてから2年ほ…

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