【動画】ネパールの学校で始まった「防災教育クラブ」活動=鈴木智之撮影
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 担架のないなか負傷者をどう運ぶか、断水で水が使えないとき食器の洗い物を減らす工夫は……。阪神・淡路大震災を経験した人々から聞き取った「いざという時の知恵」をもとにした防災教育が、海を越えて広がっている。アジアや中南米の国々を中心に、子どもたちが楽しみながら学んでいる。また、約100カ国の人々が神戸で得た防災知識を、自国でいかしている。

 ヒマラヤ山脈のふもとに広がるネパール。2015年の大地震を契機に防災意識が高まった。

 19年夏、首都カトマンズや近郊の都市の学校19校に、災害に対する備えや心構えなどを学ぶ「防災教育クラブ」ができた。日本の部活動のような取り組みで、各校で日本の小学4年から高校1年に相当する生徒ら数十人が、昼休みや放課後に活動している。

 カトマンズから車で約1時間の距離にある都市バクタプル。私立ヒマラヤングローリー学校を訪れると、部員たちがシーツを利用して担架をつくり、けが人に見立てた人形を運ぶプログラムに取り組んでいた。阪神大震災の被災者の「担架がなく、その辺にあったものを利用してけが人を運んだ」という経験をもとに、負傷者を搬送できるようにするためのプログラムだ。

 カトマンズ近郊の都市サンクーの私立バジュラヨギニ学校では、部員たちが新聞紙を折って皿をつくる方法などを学んだ。「皿が割れて使えなかった」「断水で皿洗いができず、皿にラップをかけて使った」という阪神大震災の経験をいかし、使い捨ての皿を簡単につくる方法だ。

 火災を防ぐ方法を間違い探しゲームで学んだり、クイズ形式で災害時に取るべき行動を確認したり、災害に備えて用意しておく物について話し合ったりと、各校で様々な取り組みが行われている。

 こうした活動をサポートするのはNPO法人「プラス・アーツ」(神戸市、永田宏和理事長)だ。05年から阪神大震災の被災者から防災に関する教訓を聞き取り、それを生かした防災教育プログラム「イザ!カエルキャラバン!」を国内外で展開している。シーツの担架や紙皿づくりのほか、「ジャッキが役立った」との声から生まれたジャッキアップゲーム、消火器を使った的当てなど多岐にわたり、子どもたちが遊びながら防災の知識や技を身につけられる。

 ネパール地震の後、他の団体の紹介を受けてネパール入りしたプラス・アーツは、17年から国際協力機構(JICA)の支援を受けて、「カエルキャラバン」をもとにした教育プログラムの作成に取り組んだ。現地の教員と協力して10種のプログラムが完成。教育クラブで使われている。

 ヒマラヤングローリー学校のエリナブダトゥキさん(13)は「防災教育は自分のためだけではなく、親や家族、社会のために役立つ。将来は、日本から教えられた防災教育を他の発展途上国にも伝えたい」と話した。

 カトマンズ市のアルチャナシュ…

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