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 神戸市灘区の森本由美さん(51)は長年、阪神・淡路大震災が起きた1月17日午前5時46分に、同区の空き地で手を合わせてきた。ここにあった2階建てアパートで1歳1カ月の長男の武史ちゃんを失った。

あの夜、ほっぺた吸いながら

拡大する写真・図版森本由美さん(右)の弟(左)に抱っこされて写真に納まる武史ちゃん=1995年1月16日、神戸市灘区、森本さん提供

 あの日の前夜、断乳しようと、おっぱいをあげなかった。武史ちゃんは代わりに母親のほっぺたをチュッチュと吸いながら1階の部屋で寝入った。

 激しい揺れで2階部分が崩落してきた。暗闇に包まれた森本さんは奇跡的に隙間に体が収まった。ただ、幼子の泣き声が聞こえない。サーチライトが視界に入り「ここ、ここ!」と叫んだ。救助隊員らに救出された。運び出された武史ちゃんに外傷はなかった。「大丈夫?」と何度も周りに確認するが、みな黙った。

 倒れてきたタンスの角に横腹を圧迫されたようだった。運ばれた病院や遺体安置所で、すれ違う人々がきれいな顔の武史ちゃんを見て、「かわいい赤ちゃんねえ」と声を掛けていった。

拡大する写真・図版森本由美さんの長男の武史ちゃん

 死にたい――。そう考えるようになった。夫も心のバランスを崩した。

出産、離婚、倒産…あの日からの歳月

 震災翌年に次男(23)を出産し、三男(20)も生まれた。だが、夫婦の間の溝は広がり、2002年に離婚。半年後に前夫が事故死した。2年後、仕事をしていた父親の鉄工所が倒産し、収入が途絶えた。

 育ち盛りの2人の子を抱えて経…

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