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 仏像を盗もうと、島へ渡ってきた男たち。はじまりは、獄中で知り合った元窃盗団員の「高く売れるぞ」という耳打ちだった――。

 長崎県対馬市の寺から県有形文化財の仏像(1・5億円相当)を盗み出したとして、窃盗などの罪に問われた男ら3人に対する判決が17日、長崎地裁厳原(いづはら)支部であった。久田淳一裁判官は「仏像は信仰の対象として極めて貴重な財産」と述べ、神戸市長田区の飲食店従業員、綾井徳之被告(59)に懲役2年8カ月(求刑3年)を言い渡した。

 このほか、同市東灘区の土木作業員、有川哲也被告(42)に懲役2年(同2年6カ月)、兵庫県三田市の無職、末田充被告(61)に懲役1年6カ月執行猶予3年(同1年6カ月)を、それぞれ言い渡した。

 判決によると、昨年10月17日、綾井、有川の両被告は長崎県対馬市峰町佐賀の円通寺に窓を割って侵入、仏像を盗み出した。末田被告は運転手役を務めた。仏像を道路上に持ち出した際、住職に見つかったため、放置して逃走。仏像は回収され、無傷だった。

 県教育委員会によると、この仏像は「円通寺銅造薬師如来坐像」(高さ約60センチ)で、朝鮮半島で仏教文化が栄えた高麗時代の13世紀ごろの製作とされる。

 長崎地検によると、主導的な立場だった綾井被告は別の罪で服役中、対馬市の別の寺で6年前にあった文化財窃盗事件の実行犯とされる韓国人(15年に実刑判決)と知り合った。昨秋に仮釈放された後、この男に会うために渡韓。その際「円通寺の仏像は高く売れる」と聞かされ犯行を計画し、仲間を集めたという。

 海峡を挟んだ朝鮮半島と交流の歴史を重ねてきた「国境の島」対馬には、仏像を始め、朝鮮由来の文化財が数多く残る。韓国では、朝鮮半島から日本に流出した文化財をめぐり解決済みとした1965年の日韓協定を認めずに返還を求める声も根強く、韓国人窃盗団による文化財の窃盗事案は日韓間の外交問題に発展するケースもあった。

 対馬市教育委員会によると12年に盗まれ、韓国に渡った仏像のうち1体(国重要文化財)は対馬に戻るまで約3年かかり、もう1体(県指定有形文化財)はいまだ返還されていない。(横山輝)

 <訂正して、おわびします>

 17日配信の本記事で、「日本から朝鮮半島に流出した文化財」とあるのは「朝鮮半島から日本に流出した文化財」の誤りでした。入力する際に間違え、確認も不十分でした。