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倫理、政治・経済

 大問構成は倫理分野、政治・経済分野から各3問。小設問はすべて「倫理」「政治・経済」単独からの流用。

【難易度】昨年並み

【全体概観】

 出題形式としては、倫理分野、政治・経済分野から大問が各3問ずつ計6問、<小設問はすべて「倫理」・「政治・経済」単独科目と共通であったが、倫理分野が第3問で1問増えたため、全37問になった>。本年度も「倫理」と「政治・経済」の全分野から網羅されるように設問が選択されている。したがって、<倫理分野、政治・経済分野ともに十分な準備をしておかないと高得点は望めない>であろう。昨年と同程度の難易度の問題が多く出題されており、難易度は昨年並みと思われる。

設問別分析

【第1問】現代社会分野・青年期分野

 リード文は「倫理」第1問と共通で、現代社会分野・青年期分野から出題された。5問中3問が文章の穴埋め、グラフ読解、資料文読解であり、解答に時間がかかるものが多かった。クワインについて問われた問1は、空欄Aは後に続く文章から推測することが可能であるが、空欄Bは学習量が十分でない学生には答えにくかったと思われる。問5は④で唐突に「リサイクル」という語が出てくるため、違和感を感じた受験生も多かったであろう。

【第2問】源流思想分野・日本思想分野

 第2問は源流思想分野(諸子百家など)と日本思想分野(古代の日本や山鹿素行など)から出題された。リード文および設問のベースは「倫理」第3問であり(7題中5題が「倫理」第3問と共通)、2題が「倫理」第2問と共通問題であった。大乗仏教について問われた問1では、誰が「小乗仏教」と呼んだのかという点や、菩薩は出家しているかいないかという点を考えなければならず、深い理解が求められた。また、学習の及びにくい近代の思想家についての問題が2題出題された。その中でも徳富蘇峰について問われた問5は、他の選択肢も全員近代の思想家に分類される人の説明であるため、解答を選びにくい。

【第3問】源流思想分野・西洋近現代思想分野

 第3問は源流思想分野(キリスト教など)と西洋近現代思想分野(スピノザやニーチェなど)から出題された。リード文および設問のベースは「倫理」第4問(西洋近現代思想)であり(7題中5題が「倫理」第4問と共通)、2題が「倫理」第2問(源流思想)と共通問題であった。問1や問2は平易であるが、問3から問5は、エピクロスの「死」に関する考え方や、ヘーゲルの人倫のような、一考を要する選択肢が含まれており、問題の難易度を引き上げている。

【第4問】政治・経済総合問題

 リード文は「政治・経済」第1問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、アダム・スミス、日本の労働法、需要・供給曲線、地方公共団体、難民問題など幅広いものであった。問3の寡占・独占に関する問題は、②や③の理論的な文章で惑わされるが、正答は管理価格という平易なものであった。一方、問4では消費者団体訴訟制度が正答になっているが、これは教科書の注の箇所に述べられていることが多い用語であるため、学習が及んでいなかった受験生もいたと思われる。

【第5問】基本的人権

 リード文は「政治・経済」第3問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、公共財、公共財の非排除性、発展途上国の経済など経済分野からのものであった。表の読み取りが2題出題されているが、問4は自己資本・他人資本、直接金融・間接金融の区分ができないと答えられず、問5もグラント・エレメントの意味を知っていなければ正解を選択できないというように、問題に工夫がなされている。また、問3は2012年度の「政治・経済」第2問とほぼ同じ問題であり、過去問を幅広く解いていた受験生は容易だったであろう。

【第6問】民主主義と各制度

 リード文は「政治・経済」第4問と共通で、すべてそこから設問が抜粋されている。出題内容は、選挙制度、大衆民主主義、国民の自由や権利など政治分野からのものであった。問1は立憲主義と民主主義の関係をテーマにしたもので、選択肢中での「機関」が何を指すのかを見抜けるかが一つのポイントである。2014年度の第4問で同様の問題が出題されており、過去問をしっかり解いていた受験生は対応しやすかったと思われる。

新高3生への学習アドバイス

◆「大学入学共通テスト」

 皆さんが受験する2021年1月より、大学入学共通テストが始まります。2018年に行われた試行調査の問題を見ると、「倫理」や「政治・経済」では、その科目の知識をシンプルに問う問題は減少しています。その代わり、写真や絵画などの資料が示す趣旨を読み取り、その趣旨と科目の知識を組み合わせて空欄に当てはまる文章を選ぶというような、知識だけでなく思考力を求める問題形式が「政治・経済」はもちろん、特に「倫理」で増加しています。このような形式の問題に解答するには、短時間でさまざまな分野・事項の知識を引き出し、かつ、思考をまとめ上げることができなければならず、慣れが必要になります。

◆教科書の内容を確実に身につけよう

 大学入学共通テストの「倫理」・「政治・経済」の問題形式は、センター試験と比べると大きく変わることが予想されます。とは言っても、基本となるのはやはり教科書の内容です。「倫理、政治・経済」は、「倫理」と「政治・経済」の2科目を学ぶ必要がありますが、両方合わせても世界史や日本史の教科書1冊程度ですから、格別に負担が重いということはありません。ですが、高校の授業では「倫理」と「政治・経済」が十分に学習できないケースもあるので、できるだけ早くから教科書の内容をしっかりマスターし、実践的なトレーニングを進めることが求められます。

◆暗記よりも内容理解を

 「倫理」と「政治・経済」では、知識よりも一つ一つの内容の理解が大切です。社会科は暗記だと思っている受験生は考えを改めてください。大学入学共通テストでは、暗記的な知識ではなく、内容の理解を土台にした思考力を求める問題が多くなっています。ですから、倫理分野でも政治・経済分野でも、常に「なぜそうなるのか」という問題意識を持って学習を進める必要があります。まずは手垢(あか)で汚れるくらい何度も教科書や参考書を読み、用語の意味が分からなければ用語集を参照して、最終的には教科書の巻末の索引にある用語を見たらその内容を容易にイメージできるくらいにまで到達しましょう。

新高2生へのアドバイス

◆「倫理、政治・経済」とは

 「倫理、政治・経済」では、「倫理」と「政治・経済」の二つの科目について問われます。「政治・経済」は中学で学習した公民の範囲を深く学ぶものですが、「倫理」は人間の内面的な問題を主に扱う分野で、おそらく初めて学習するものでしょう。歴史に名を残す思想家や宗教家が、理性の限界点や普遍的な真理など、一生を懸けて追い求めたものを概観する科目です。「倫理」や「政治・経済」で扱われる内容は、様々な思想家・宗教家の遍歴や思想内容を知ることで皆さんの人生を精神的に豊かにし、政治や経済の理論を知ることで現実に起きる事象の理解をより深めることでしょう。ですので、高2生のうちは、単に受験のために必要な知識を蓄えるだけでなく、自分にかかわらせて考える、ということも行ってみてください。

◆「政治・経済」「倫理」それぞれの概要を理解しよう

 「倫理、政治・経済」は「地理」や「世界史」、「日本史」よりも簡単だと甘く見ていると、「政治・経済」、「倫理」の両分野を網羅的に学習できないままに入試本番を迎えることになりかねません。とりあえず両分野の教科書を通読し、どんなテーマが取り扱われるのかということだけでも押さえることが大切です。専門的な用語や細かい事項の理解は後から深めていくことができますので、概要を頭に入れることを目指しましょう。特に政治・経済分野は制度、しくみや理論の構成の正確な理解が必要なので、早いうちに基本を押さえておくと、高3生になってから学力をより高めることができるでしょう。

◆問題演習をしてみよう

 大学入学共通テストの試行調査の問題は、「政治・経済」、「倫理」ともに、十分な知識を蓄えたうえで、資料から必要な情報を読み取ることを重視しており、出題の仕方に工夫がこらされています。そのため、限られた時間内に思考し、考えを的確にまとめ、解答する力が求められます。ですので、大学入学共通テストと同一レベル・同一形式の東進の模試を受け、出題形式に慣れておくとよいでしょう。(東進ハイスクール提供)