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 植物では、親世代にはない特質を持つ異種同士の交雑種がごくまれに自然に生まれ、広まることがある。ならば、種の壁を越えた「スーパー交雑種」を人工的に作れないか。食糧問題を見据えて研究が進む。

 植物ではふつう、異なる種の間の交雑種は誕生せず、生まれても大半は子孫を残せない。

拡大する写真・図版花粉管=撮影・水多陽子博士(名古屋大学)

 「生物の生殖過程には、異なる種を排除する仕組みがたくさん備わっている。自己の種を繁栄させるよう進化してきたのだろう」と、東京大大学院農学生命科学研究科の高山誠司教授は説明する。

 植物の大半を占める被子植物の場合、大きな第1の「種の壁」は受粉だ。同じ種の花粉がめしべにつくと、めしべ先端の乳頭細胞から水分が出ると同時に、先端部分の細胞壁が緩む。花粉は水分を吸い、花粉管が発芽し、緩んだめしべの内部に伸びていく。そして動物の精子にあたる精細胞を、めしべの奥にある卵細胞へと運ぶ。

 異なる種の花粉だと、乳頭細胞から水分が出ないか、出たとしても花粉管は発芽できない。

 花粉が同じ種かどうかを見分ける重要な役割を果たす特定のたんぱく質が、実験植物シロイヌナズナなどアブラナ科の多くの植物に存在する。同科の藤井壮太助教や高山さんらが、昨年7月の論文で明らかにした。

 このたんぱく質は、めしべの先…

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