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物理基礎

 例年通り第1問の小問集合、第2問の波動・電気、第3問の力学と、各分野からまんべんなく出題された。分野の偏りはなく、教科書の基本事項からの出題である。組合せ選択肢の問題は昨年より2問少ない4問出題、また適当なグラフを選ぶ問題は昨年と変わらず1問出題されている。

【大問数】変化なし

【設問数】変化なし

【マーク数】減少(-1)

【難易度】昨年並み

【全体概観】

 大問3題の構成で出題された。

 第1問は小問集合であり、並列のばね、等加速度運動、交流による送電の効率、うなり、熱に関する正誤問題からの出題であった。例年通り概ね物理量の定義や用語についての正確な理解に関する出題である。

 第2問はA、Bからなる構成であり、Aが互いに逆向きに進む波とその重ね合わせ、Bが三つの抵抗と直流電源および切り替えスイッチからなる回路からの出題であった。抵抗回路の出題は昨年に引き続き2年連続である。

 第3問はA、Bからなる構成であり、Aがゴムひもとエネルギー保存則、Bが斜方投射からの出題であった。斜方投射の計算は物理基礎の範囲外であるが、問題に計算方針を指示することで物理基礎の範囲とするという異例な手法での出題であった。

 ゴムひもの問題、斜方投射の問題は今までに経験したことがあるかどうかが鍵となった。全く出会ったことがなければ、その場での考察は難しいだろう。制限時間に対する問題量としては適切であった。

設問別分析

【第1問】小問集合

 第1問は、昨年同様に物理基礎のさまざまな分野を扱った小問集合であった。昨年同様、計算だけでなく、現象に関する正確な知識を問う問題が出題された。

 問1は、並列の合成ばねを背景にした出題だが、合成ばね定数に関する知識などなくても、水平な棒とそれに糸で取り付けた物体を一体として、力のつり合いを立てれば解答できる。

 問2は、運動エネルギーの大小関係とあるが、「同じ大きさの力で1秒間引いた」とあるので生じる加速度の大小関係を考えれば良い。

 問3は、変圧器で昇圧してから送電すると送電の電流が小さくて済むため、送電線において失われるエネルギー(送電線の抵抗における消費電力)が抑えられるということへの理解があれば解答できる。

 問4は、うなりの公式を覚えていればそれだけで解答できる。オはうなりの公式の説明に用いる考え方だが、この問い方だと何のために計算したのかがわからず、不思議に思った受験生もいただろう。

 問5は、潜熱という言葉の定義を正確に理解しているかどうかが鍵であった。潜熱は融解熱、蒸発熱など状態変化に利用される熱の総称であるため、固体から液体に変化する際に物質に吸収される熱である融解熱も潜熱のひとつである。他の選択肢の間違いのほうが見つけやすいので消去法が考えやすいかもしれない。

【第2問】波動、電気

 Aは、波の独立性と重ね合わせの原理に関する問題であった。

 問1は、グラフを読めば解答できる平易な問題。ここではあまり差はつかないだろう。

 問2は、単純な重ね合わせではなく、変位の時間変化グラフに直してからの重ね合わせなので理解に差が出る出題であった。

 Bは、3つの抵抗と切り替えスイッチと直流電源からなる回路に関する出題であった。

 問3は、電流の流れていない抵抗における電圧降下が0であることを正確に理解しているかどうかが問われた。

 問4は、スイッチの切り替えで回路の合成抵抗がどのように変化し、回路全体での消費電力がどう変わるかが理解されていれば解答できる。

【第3問】力学

 Aは、ゴムひもの先端に小球を結び静かに放す運動であり、物理の2次試験でよく見る出題である。

 問1は、自由落下時間に関する問いであるため、等加速度運動に関する理解のみで解ける。

 問2は、力学的エネルギー保存のみで解答できる。しかし、ゴムひもの振る舞いに慣れていなければ立式に不安を感じたに違いない。

 Bは、斜方投射に関する出題であった。物理基礎では直線運動のみしか扱わないため、解法に誘導が与えられた。

 問3は、水平方向の等速度運動を考えれば答えられる。

 問4は、鉛直方向の等加速度運動を考えれば答えられる。

 斜方投射の計算に関する説明は教科書に発展事項として載っていることが多いので、確認してみよう。

新高3生へのアドバイス

◆大学入学共通テストも教科書からの出題

2021年1月に、これまでのセンター試験にかわって大学入学共通テストが実施される予定です。問われている能力にいくらかの違いがありますが、共通テストもセンター試験と同様に物理基礎の教科書の内容から出題される試験です。また制限時間や形式も変わらず30分のマーク形式です。共通テストでは新たに「読解力」や「身の回りの現象の分析力」を強く問うようになりましたが、センター試験を解く能力がこれらの基本となりますので、センター試験の内容や形式を確認しておきましょう。

◆現象を物理学的に正しく捉えることを心がける

 「物理基礎」は、力学、熱、波動、電磁気、エネルギーの利用などを扱います。専門的な内容は「物理」で扱うため、物理基礎は日常的な内容が中心となります。「物理」のように、計算を通じて複雑な現象を解析する問題はほとんどありません。「物理基礎」においては「自然現象を物理学的に捉えることができるか」が主題とされており、計算はわずかです。数学と異なり、自然現象を扱っているため、物理計算には現象にそった意味合いがあります。ただ解法を覚えるだけでなく、式の意味を理解しようと努力しましょう。教科書等では、図や写真を多用して現象の捉え方を丁寧に説明しています。計算問題を解く前に、時間とともにどのように現象が起こっていくのかを想像しましょう。

◆基本問題から解いていく

 現象の捉え方についての理解が深まってから問題演習を行うと「物理基礎」に関する理解が深まります。ただし、いきなり実践的な問題を解くのではなく、教科書の例題のような基本問題から始めるのが重要です。演習の際には「解説を読んでわかった」で終わりにすることなく「現象を物理学的に正確に捉えられているか」を自問自答しながら慎重に進めていきましょう。「答えが出たらおしまい」という考え方を捨て、「何を原因として、何が起きたのか」を丁寧にひとつひとつ明らかにしましょう。

◆ある程度学習が進んだら

 予想問題などはある程度学習が進んだ段階で、出題形式や傾向に慣れたり、現状の学力がどれくらいなのかを測ったりするために利用しましょう。近年のセンター試験の問題は物理への理解を測るにあたって極めて優良な出題ばかりです。共通テストはセンター試験と傾向が変わると予想されますが、範囲や形式は変わりませんし、学習においては予想問題以上に効果を期待できる問題も多いです。

◆模試を受験して共通テストの出題形式と傾向に慣れる

 物理の学力が身についたとしても、共通テストの出題傾向や形式に戸惑って実力が十分に発揮できないと、それまでの努力が報われません。また、「物理基礎」とそれ以外の基礎科目で合わせて解答時間が60分なので、時間配分に慣れておかないといけません。共通テスト本番で実力を発揮するためにも、出題形式や出題範囲が同じ「共通テスト本番レベル模試」を受験し、共通テストの出題形式や時間配分に慣れておきましょう。過去問のない現在、全国統一高校生テストを含めて年間6回実施される共通テスト本番レベル模試は有効な演習の機会となります。もちろん、模試は受けっぱなしにするのではなく、不正解だった問題や偶然正解した問題について復習することも重要です。出来なかった問題を復習し、類題が解けるようになれば、更なる高得点が期待できます。

新高2生へのアドバイス

【新高2生へのアドバイス】

◆大学入学共通テストも教科書からの出題

 2021年1月に、これまでのセンター試験にかわって大学入学共通テストが実施される予定です。問われている能力にいくらかの違いがありますが、大学入学共通テストもセンター試験と同様に物理基礎の教科書の内容から出題される試験です。制限時間や形式も変わらない30分のマーク形式です。大学入学共通テストでは新たに「読解力」や「身の回りの現象の分析力」を強く問うようになりましたが、これまでのセンター試験を解く能力がこれらの基本となりますので、センター試験の内容や形式を確認しておきましょう。

◆物理基礎とは

 「物理基礎」は、力学、熱、波動、電磁気、エネルギーの利用などを扱います。さらに専門的な科目である「物理」があるため、「物理基礎」は日常的な内容が中心となります。物理は、教科書等に出てくる知識や式を記憶するだけで、できるようになる教科ではありません。物理現象や式の意味を正しく理解し、整理することが必要です。

◆中学理科の物理分野を確認しておく

 「物理基礎」の内容は、中学校で学んだ理科の物理分野が基礎となります。物理は積み上げ型の科目ですから、基礎となる中学理科の理解が不十分だと、「物理基礎」の理解も難しくなります。したがって、「物理基礎」の学習を始める前にまず行うことは、中学理科の復習です。中学理科では、力学、波動、電磁気などの内容を学んでいます。中学の内容だからと言って軽んじることなく、復習してみると忘れている知識やあいまいな内容がいくつもあることに気づかされるはずです。このような不完全な学習項目をそのままにしておかず、復習してより理解を深めることで、「物理基礎」の学習のスタートラインに立てると言えます。

◆まず授業や教科書を活用する

 大学入学共通テストへとテスト形式が様変わりしても、物理基礎の出題範囲は変わりません。「物理基礎」の学力を向上させるためには、まず教科書の内容を十分に理解することです。そのためには「物理基礎」の授業をしっかりと活用することが重要です。授業の予習・復習によって「物理基礎」の学力を身につけ、教科書の演習問題は解けるようにしておく必要があります。一見、地味に感じるかもしれませんが、物理は積み上げ型の科目です。地道な努力の積み上げが2年後の合格につながると言えます。(東進ハイスクール提供)