日米安保に藤原帰一氏「トランプ氏の世界、ボスは絶対」

有料記事日米安保60年

聞き手 編集委員・佐藤武嗣
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 トランプ米政権は、なぜ同盟国を軽視するのか。日米同盟はどんな事態に直面するのか。国際政治学者の藤原帰一東大教授に聞いた。

ふじわら・きいち 1956年生まれ。東京大教授、同大未来ビジョン研究センター長。専門は国際政治学、比較政治学。

自国の利益最優先、初の米政権

 ――米国の国際社会での影響力をどう見ますか。

 「国際機構や条約の多くは、米国が主導して作ったものだ。それを自国の利益にならないから脱退するぞといった主張は驚きで、いぶかしい。貿易や軍事でなぜ米国が負担を負わねばならないのかという議論はかねてあったが、同盟国が米国の軍事力を利用するばかりで、米国の利益にならない、と公言する米政権が登場したのは初めてだ」

 「地球温暖化対策のパリ協定のように、米国が必ずしもリーダーシップを発揮しなかった分野では、さらに大胆に撤退する。国連は米国が資金を出さずに、活動が行き詰まっている」

【特別企画】日米安保の現在地

60年前の1月19日、旧安保条約が改定され、現在の日米安全保障条約が調印された。国際秩序の構図が大きく変わるなか、変わろうとしている日米同盟の性格。「日米安保の現在地」を探る。

 ――ルールに基づくリベラルな国際秩序の衰退が始まったのはなぜでしょう。

 「『ルールに基づく秩序』は、冷戦後にいっそう強調された。民主主義と市場経済を共有する諸国が、多国間条約を整備し、これまで非公式にとどまっていた合意も公式のものに変え、さらに欧米以外の諸国もその秩序に統合してゆく。そういうプロセスが進んだ」

 「第一の転機は中国の台頭だ…

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