[PR]

 世界文化遺産としての登録に向け、7月の国内推薦決定をめざす佐渡金銀山遺跡(佐渡市)の保存状態が懸念されている。佐渡市は遺跡の崩落や損傷など30点を超す課題を確認しており、専門家会議の意見を踏まえ、3月に整備基本計画をとりまとめる方針だ。

 世界遺産への登録をめざす「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」は、①西三川砂金山(平安時代以降と推定される最古の遺跡)②鶴子(つるし)銀山(室町時代発見)③相川金銀山(安土桃山時代発見)で構成する。

 遺跡の保存などについて検討する史跡佐渡金銀山遺跡保存整備に関する専門家会議(座長=北野博司・東北芸術工科大学教授)が16日に東京都内であり、佐渡市が現状を報告した。

 それによると、①は国指定の重要文化的景観だが、砂金を採掘した遺跡が草木に埋没し、鉱山経営を担った「金子勘三郎家」の建物も腐朽が進んでいる。②は、遺構の多くが山間に埋没し、見学しづらい状態になっている。

 最も課題が目立つのが③だ。佐渡金山の象徴とされる露頭掘り跡「道遊の割戸」では、すでに一部崩落が始まっており、現状維持には山の斜面の崩落防止措置が必要だ。近代以降の採掘施設もコンクリートや鉄骨、石造りの損傷が著しいとされる。

 佐渡市によると、史跡の所有者は民間、市、県と多岐にわたる。文化財保護法上の管理団体は市で、整備費用は県や国の補助を得ながら市が負担することになるという。

 専門家会議では、新年度から5~10年間の各地域の個別整備計画案を市が示した。この日の会議での意見を踏まえ、3月の次回会議で基本計画をまとめた後、文化庁とも協議して最終的に決める予定だ。

 専門家会議座長の北野教授(歴史遺産学)は会議後、「佐渡金銀山遺跡は三つもの地域で構成されており、それぞれの文化的景観を整備する事業は並大抵のものではない。厳しい財政状況の中で、実現可能な計画をつくる必要がある」と語った。(古西洋)