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 栃木県那須塩原市や日光市などの温泉地で、正月に宿泊予約の無断キャンセルが相次いだ。少なくとも7施設で計約250万円の被害が出ていることが20日、宿泊業者への取材でわかった。県は春の観光シーズンに向けて観光関係者と防止策を協議する考えだ。

 関係者によると、いずれも同一とみられる人物から那須塩原市、日光市、那須町の宿泊施設8カ所に電話で1月2日の宿泊申し込みがあり、うち1カ所にのみ泊まったとみられるという。被害に遭った施設は県警に対応を相談し、この人物を特定して損害賠償を求めることも検討している。県観光交流課の担当者は「あってはならない行為。宿泊業者や関係団体と対策を話し合いたい」と話す。

 那須塩原市の旅館「湯守田中屋」では昨年8月末、男性の声で電話があり、男女10人で泊まるとして「露天風呂付きの最高の部屋」を指定されたという。住所、氏名、電話番号などを聞き、翌日には要望に応じてパンフレット10部も宅配便で送った。しかし、宿泊予定日の約2週間前に電話をした際は不通で、当日、客は現れなかった。連絡先とされた千葉県の住所に宿泊費約36万円の請求書を送ったところ、転居先不明で戻って来たという。

 日光市鬼怒川温泉のホテルでは、1月2日からの予約申し込みがあったものの、満室で、3日から1泊で男女計10人の予約を受け付けた。求めに応じてパンフレットも送ったが、客は来なかったという。被害額は約26万円だった。

 一般社団法人「那須塩原市観光局」の小林紀明・事業部長(51)によると、予約をした人がキャンセルの連絡もなく現れないことを業界では「ノーショー」と呼び、近年増えている。「被害が少額の場合は大半の宿泊施設が泣き寝入りしている」という。

 今回のキャンセルの理由は不明で、予約の手段も異なるが、無断キャンセルが起きる原因の一つに、インターネット予約サイトの普及があるとされる。サイトで空室確認をして複数に予約を入れた後、実際に泊まる施設を決めたにもかかわらず、ほかの施設の予約を取り消さないケースが散見されるという。

 施設側は「無断キャンセル」とみなし、予約者に代金を請求するが「キャンセル電話をしたはずだ」「何回もしつこい」と拒否する人も多いという。

 小林さんは「かたくなに拒否されたあげく、逆にネットで中傷されるのも避けたくて、請求をあきらめてしまうことが多々ある。今回の問題で、宿泊予約をすれば支払い義務が生じる場合もあることが認知されてほしい」と話した。(池田敏行、梶山天、池田拓哉)