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 政府主催の東日本大震災追悼式は、発生から10年となる2021年まで――。菅義偉官房長官が21日、政府の方針を明らかにした。震災の風化や支援の縮小につながることはないのか。被災地で暮らす遺族らの間には、複雑な思いが交錯した。

「30年でも続けて」「地元の努力が大事」

 追悼式には震災の遺族らが出席して思いを語り、参列者が耳を傾けてきた。

 震災で両親を失った宮城県東松島市野蒜(のびる)の小野寺秀俊さん(71)は2018年の政府主催の追悼式で、遺族を代表して思いを述べた。追悼式を取りやめるとの方針に、「(追悼式は)テレビで放送され、いろんな知人から電話があった。注目度が高く、思いが広く伝わったのが良かった。取りやめはさみしい」と残念がる。

 妻の厚子さん(当時58)を津波で亡くした元消防士の佐藤誠悦さん(67)は、18年にあった気仙沼市の追悼式に遺族代表として出席した。「遺族代表が追悼の言葉を述べ、世界に発信することは、貴重な機会だ。政府主催の追悼式も、20年でも30年でも続けてほしい」と訴える。

 佐藤さんは語り部として全国各地に招かれ、体験を語っている。「多くの人たちに会うことで癒やされるが、心の傷が消えることはない。その意味では今も闘っている。『語り、つなぎ、伝える』ことが大事で、明日にも迎えるかもしれない災害への教訓になる」と訴える。

 東京電力福島第一原発事故では、福島県に住んでいた約4万1千人がなお避難を続ける。浪江町は17年3月に中心部の避難指示が解除されたが、町に住むのは事故前の5%程度。二本松市に避難する佐々木茂さん(65)は「原発災害も収束したと発信したいのか」といぶかる。

 ただ、遺族の受け止めは様々だ。

 岩手県陸前高田市の高橋勇樹さ…

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