2020年初の通常国会。噴出する疑惑に攻勢を強める野党、その行方は
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 首相主催の「桜を見る会」問題やカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件などをめぐり、「疑惑国会」の様相を呈している通常国会の論戦が22日、スタートしました。野党の追及に対し、安倍晋三首相はどう説明するのか。この日午後に行われた衆院代表質問初日の攻防をタイムラインで詳報し、記者が解説します。

27日に予定される衆院予算委員会のやりとりもタイムラインで詳報します。

拡大する写真・図版代表質問があった衆院本会議場=2020年1月22日午後1時4分、岩下毅撮影

16:10

玉木氏「レコードで言えば、私はB面」

 代表質問で安倍晋三首相に対し、経済政策や外交政策を中心に姿勢を問うた国民民主党の玉木雄一郎代表。本会議後、一連の疑惑追及に質問時間を割いた立憲民主党の枝野幸男代表との「役割分担」について記者団に問われた。

 玉木氏はレコードに例え、「昔で言うと、A面・B面。同じことを言う必要がない。それぞれが持ち味を出しながら、行政監視機能と提案機能の二つを果たしていくことが大事だ。今日はうまくそれができた」と振り返った。

 玉木氏自身はA面なのかB面なのか問われると、笑ってこう返した。

 「私は常にB面だ」

寸評=斉藤太郎記者

野党への責任転嫁 それこそ「印象操作」では

拡大する写真・図版衆院本会議で、立憲民主党の枝野幸男代表の代表質問に答弁するため席を立つ安倍晋三首相(右端)=2020年1月22日午後1時37分、岩下毅撮影

 安倍晋三首相が1カ月半ぶりに国会で答弁に立ちました。自身が主催する「桜を見る会」の問題をめぐって野党代表から追及を受けましたが、その答弁からは責任を転嫁するかのような「巧妙さ」を感じました。

 「長年の慣行の中で行われてきたことであり、招待者の基準があいまいだった結果として、招待者の数がふくれあがってしまった実態がある」

 立憲民主党の枝野幸男代表の質問に対し、首相はこう述べました。桜を見る会に自身の後援者らが大勢出席していた問題は、「長年の慣行」が原因かのような答弁ぶりでした。会の支出は安倍政権下の14年から右肩上がりとなり、19年には倍近くの5519万円となりました。

 「長年の慣行」は、招待者が増えるのを許してきた環境について説明しているに過ぎず、安倍政権下でなぜ招待者を増やしたのか、という理由を答えているとは言えません。

 また、会の招待者名簿を「管理簿」に記載していなかった問題では、首相がたびたび「悪夢のような」とやゆする旧民主党政権を持ち出しました。

 前政権下の名簿管理をめぐり、首相はこの日、「11年と12年は桜を見る会自体は中止されたが、招待者名簿はその時点の完成版が存在していたとのことだ。当時も管理簿に登録せずに廃棄された」と指摘。「この措置を前例として漫然と引き継いだ」と答弁しました。

 ただ、会が開かれなかった年を「前例」としたとの説明には、不自然さを感じざるを得ません。安倍政権は桜を見る会の招待者名簿について再調査を拒み続けています。一方で、10年近く前の民主党政権下の内部の状況については詳しく調べて首相が説明する姿にも、違和感を覚えます。

 首相は野党議員の前のめりな追及に「印象操作だ」と反論することが多々あります。政権の体質や姿勢を問われている問題から自身を遠ざけるような答弁姿勢も、ある種の「印象操作」といえるのではないでしょうか。

16:00

首相答弁、枝野氏「支離滅裂だった」

 代表質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は本会議後、「桜を見る会」「IR汚職」「2閣僚辞任」をめぐる安倍晋三首相の答弁について「支離滅裂、論理的整合性のとれないむちゃくちゃな答弁しかできなかった。大変残念に思っている」と批判した。「これから補正予算、本予算の審議を通じて、同僚議員がしっかりと細かく、その矛盾を皆さんの前に明らかにしていく」と続け、追及し続ける構えを強調した。国会内で記者団に答えた。

16:00

二階氏「桜、もう散った」 追及続ける野党を批判

拡大する写真・図版衆院本会議で代表質問に立つ、自民党の二階俊博幹事長=2020年1月22日午後2時5分、岩下毅撮影

 「あちらの方々はあんなことばかりずっと続けて言っている。桜ももう散ってしまった」

 衆院本会議終了後、代表質問に立った自民党の二階俊博幹事長は国会内で記者団の取材に応じ、「桜を見る会」をめぐる立憲民主党の枝野幸男代表の質問をこう揶揄(やゆ)した。その上で、「早くこの問題から次の建設的な問題に議論を移していかなきゃだめだ」と語った。

15:58

初日の論戦終了 23日の「バッター」は

 通常国会の衆院代表質問は、初日の論戦が終わった。

 23日も午前に参院本会議で代表質問があり、午後には衆院本会議で代表質問の続きが行われる。衆院では公明党の斉藤鉄夫幹事長、共産党の志位和夫委員長、日本維新の会の馬場伸幸幹事長が質問する予定。参院は立憲民主党の福山哲郎幹事長、自民党の岡田広参院議員副会長が「バッター(質問者)」として登壇する予定だ。

15:50

首相「問題あるなら案出して」 改憲論議で玉木氏に

拡大する写真・図版衆院本会議で答弁する安倍晋三首相=2020年1月22日午後3時28分、岩下毅撮影

 安倍晋三首相は、自民党がとりまとめた憲法9条への自衛隊明記などを含む改憲4項目について、「自民党の案はあくまでたたき台。これに問題があるというのなら、御党の案や考え方を憲法審査会の場でご提示いただきたい」と語った。質問した国民民主党の玉木雄一郎代表に対して、憲法改正に向けた議論に乗るよう呼びかけた形だ。

 玉木氏は質問で「条文イメージ案を取り下げてはいかがか」と求めていた。

15:50

習氏「国賓」の意味、首相が説明

 安倍晋三首相は、中国の習近平(シーチンピン)国家主席が今春に「国賓」待遇で訪日する予定になっていることについて「日本と中国は地域や世界の平和と繁栄にともに大きな責任を有している。習主席の国賓訪問もその責任をしっかり果たすとの意思を内外に明確に示す機会としたい」と述べた。

 国民民主党の玉木雄一郎代表が国賓待遇について「日本の主権に対する挑戦を含め、中国の覇権主義、国際法や民主主義の基本的価値やルールに反する行動を容認するという誤ったメッセージを送ることにならないか」と質問したのに対し、答えた。

 首相は「ご指摘のものも含め、様々な懸案が存在している」と玉木氏の問題提起に一定の理解を示しつつ、「こうした懸案については、これまでも私から首脳会談などの際に中国側に提起している。引き続き主張すべきはしっかりと主張し、中国側の前向きな対応を強く求めていく」と強調。外交交渉で問題解決を図っていく考えを示した。

15:35

ジェンダーギャップ、首相「道筋ついた」

 国民民主党の玉木雄一郎代表は安倍晋三首相に対し、ジェンダーギャップ(男女格差)についての見解もただした。世界経済フォーラム(WEF)の2019年の報告書で、日本が153カ国中121位で過去最低だったことを取り上げた。

 日本政府の「2020年までに指導的地位にある女性の割合を30%に増やす」という目標について、玉木氏は首相に対し、「(目標に)達していない現状をどう考えるか」とただした。

 首相は「この7年間で上場企業の女性役員は3倍以上に増えた。政権交代前と比べて増加のペースは4倍となっている」などと答弁。「30%目標の実現に向けた道筋」がついたとして、「早期の実現に向けて、政府一丸となって女性活躍施策に全力で取り組んでいく」と強調した。

15:30

カジノ汚職「任命者として重く受け止める」と首相

 安倍晋三首相は、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐって内閣府元副大臣の秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕された問題について、「かつて副大臣に任命した者として事態を重く受け止めている」と述べた。ただ、「個別の事案の捜査に影響する可能性がある」としてそれ以上の論評は避けた。

 IRの整備について、首相は「国民的な理解が大変重要」と指摘。政府が1月中としてきた決定時期の先送りを検討しているIRの基本方針については、関係省庁やカジノ管理委員会での調整に加えて「国会での議論」を挙げ、「丁寧に策定作業を進めている」と説明した。

 国民民主党の玉木雄一郎代表の質問への答弁。

寸評=斉藤太郎記者

玉木氏と枝野氏「スタイル」の違い、共闘に課題

拡大する写真・図版衆院本会議の開会前、言葉を交わす立憲民主党の枝野幸男代表(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表=2020年1月22日午後0時58分、岩下毅撮影

 国民民主党の玉木雄一郎代表の質問は、党が掲げる政策を立て続けに政府にぶつけていく「提案型」でした。選択的夫婦別姓や国民投票のCM規制のほか、住宅の断熱性向上のためのアルミサッシから木製サッシへの転換も訴えました。

 同党は「家計第一」をスローガンに掲げています。同党と同様に旧民主党の流れをくむ立憲民主党も、「分配」を重視します。二つの党は政党合流こそ実現しませんでしたが、理念・政策で重なり合う部分は少なくありません。

 今国会で二つの党が共闘していく上で課題となるのは、「スタイル」の違いではないでしょうか。それは、この日の代表質問でも見て取れました。立憲の枝野幸男代表が桜を見る会の問題などで「追及型」の質問を織り交ぜたのに対し、玉木氏はほぼ一貫して「提案型」でした。

 過去の国会では、「徹底抗戦」戦術をとる立憲に国民が反発し、特に参院側で足並みが乱れることがありました。二つの党は昨年の臨時国会に続き、統一会派としてこの国会に臨んでいます。政党合流が見送られた中、巨大与党に対峙(たいじ)するための結束力を発揮できるかが課題となりそうです。

15:20

習氏の国賓待遇、「誤ったメッセージに」

拡大する写真・図版衆院本会議で国民民主党の玉木雄一郎代表(手前)の代表質問を聞きながら大きく口を開ける安倍晋三首相(中央)=2020年1月22日午後3時3分、岩下毅撮影

 国民民主党の玉木雄一郎代表は、中国の習近平(シーチンピン)国家主席が今春に「国賓」待遇で訪日する予定になっていることをめぐり、「誤ったメッセージ」になりかねないとの懸念を示した。玉木氏は代表質問で、「安倍首相が国賓待遇で接遇することで、中国に対し、世界に対し、日本の主権に対する挑戦を含め、中国の覇権主義、国際法や民主主義の基本的価値やルールに反する行動を容認するという誤ったメッセージを送ることにならないか」とただした。

 習氏の国賓訪問には自民党内からも批判が出ている。

15:05

「だったら結婚しなくていい」とヤジか 夫婦別姓の質問中

 国民民主党の玉木雄一郎代表は代表質問で「夫婦同姓も結婚の障害になっている」として、選択的夫婦別姓の導入を安倍晋三首相に求めた。その際、議場から声があがり、玉木氏は質問を続ける中で「今、ヤジで『だったら結婚しなくていい』とそういう話がありました」と指摘。「でも、結婚数や結婚率をあげていくことが、国難突破の少子化対策になるんじゃないでしょうか」と呼びかけた。用意した原稿にはなかった表現で、壇上から反論した格好だ。

 玉木氏はまた、若い男性から「交際している女性に『姓を変えないといけないから結婚できない』と言われた」という相談を受けたことも紹介した。

14:50

玉木氏「疑惑まみれのIR」凍結を要求

拡大する写真・図版衆院本会議で代表質問に立つ国民民主党の玉木雄一郎代表=2020年1月22日午後2時54分、岩下毅撮影

 「言語道断。疑惑にまみれたIR事業の推進を凍結すると宣言すべきではないか」

 この日の代表質問で3番目に登壇した国民民主党の玉木雄一郎代表は、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐり内閣府元副大臣の秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕された問題をとり上げた。

 IRの整備地域を選ぶ際の基準を示す基本方針について、玉木氏は「今月にも決定するとのことだが、やめるべきだ」と指摘。政府は1月中としてきた基本方針の決定時期の先送りを検討している。

 IRをめぐっては、この日最初に質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表も取り上げ、政権の姿勢を批判。安倍晋三首相は枝野氏への答弁で「IRはカジノだけではない」と述べ、大型ホテルなども併設する計画であることを念頭に「家族で楽しめるエンターテインメントとして観光先進立国の実現を後押しするものだ」と強調した。

■首相、改憲論議「期限ありきで…

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