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 関西テレビ(大阪市)のバラエティー番組「胸いっぱいサミット!」で、出演者の作家が、日韓関係をめぐる議論のなかで、韓国人の気質を「手首切るブスみたいなもの」などと語った問題について、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会(神田安積委員長)は24日、放送倫理違反があったと認定する意見を公表した。

 審議対象は昨年4月6日と5月18日の放送回。番組は生放送ではなく収録だった。2回とも、同じ趣旨の発言があり、5月の放送では、慰安婦問題の議論の中で、韓国人を夫にもつ作家の女性が「(韓国人は)とにかく手首切るブスみたいなもんなんですよ。手首切るブスというふうに考えておけば、だいたい片付くんですよ」などと、リストカットする女性に例えて発言。スタジオで笑いも起きた。また番組冒頭で作家の女性は「今日はなんでも言っていい日なんですよね。収録だから。切ってくれるんですね」と発言していた。

 意見書では、「人種・性別・職業・境遇・信条などによって取り扱いを差別しない」「人種・民族・国民に関することを取り扱う時は、その感情を尊重しなければならない」ことなどを定めた日本民間放送連盟(民放連)の放送基準に反すると指摘した。また、BPO放送倫理検証委員会の設立のきっかけとなった、関西テレビの番組「発掘!あるある大事典Ⅱ」の捏造(ねつぞう)問題(2007年)にふれ、その問題を受けて同局が定めた「番組制作ガイドライン」や「倫理・行動憲章」を引用。人種や皮膚の色などによって差別しないことを定めた同局の倫理規範を踏まえ、放送倫理違反とした。

 24日に行われた会見で、担当の中野剛委員は、BPOが行ったヒアリングの中で、複数の制作スタッフが「この番組はギリギリのラインを攻めることを視聴者から求められている」と話したことを受け、「ギリギリのラインを攻めるのであれば、放送局が自主自律で作った放送倫理規範が骨格になる。規範に対する十分な理解がなかったのではないか」と話した。また、制作会社や局のプロデューサーら複数スタッフが、出演者の女性の発言を「きつい表現」などと感じていたことや、同局の考査部担当者が発言のカットを求めたにもかかわらず、発言が放送された経緯も問題視。「疑問に思ったことを制作現場で伝えあえる環境がとても重要」と述べた。

 番組をめぐっては、放送後、「差別的だ」などと批判が上がり、羽牟正一・現社長が「認識や意識、配慮に欠けた放送で、視聴者のみなさまに申し訳なく思う。放送によって傷つく方がいらっしゃるという想像力が欠けていたと思う」と謝罪していた。

 関西テレビは、「当社はBPOの意見を真摯(しんし)に、重く受け止めております。現在、再発防止に向け、社内体制の強化をはじめ、あらためて多様性の尊重や人権意識の向上を目的とした、全社的な研修などにも取り組んでおります。今後の番組制作に生かすと共に、視聴者の皆様からの信頼回復に努めてまいります」とコメントを発表した。(西村綾華)