[PR]

 ビール市場が縮小を続けるのを尻目に、缶チューハイや缶ハイボールが売れている。炭酸水などで割らずにすぐ飲めることから「RTD」(レディー・トゥ・ドリンク)と呼ばれ、手頃な値段が消費者に受け入れられている。今年10月に価格帯が近い第3のビールが増税になるなか、RTDの税額は据え置かれることもあり、各社は品ぞろえを強化している。

 アサヒビールによると、大手各社のRTD販売量は12年連続で増加し、2019年は前年比12%増だった。昨年にコカ・コーラグループが売り出した缶チューハイ「檸檬堂(れもんどう)」は想定以上の売れ行きで在庫が尽き、一時的に出荷をやめる事態になっている。

 10月の酒税法改正では、第3のビールの税額(350ミリリットル缶)は現在の28円から約10円増税されるが、RTDの税額(同)は28円のままだ。このため、各社はアルコール度数が7~9%と高めの「ストロング系」など、新商品や商品の刷新を打ち出している。

 サントリースピリッツは、19年に7%のレモンサワーを発売したのに続き、今年3月には同じ商品の9%を売り出す。キリンは19年に過去最高の販売量となった主力の「氷結」の販売をさらに強める。

 サッポロビールも9%の缶チューハイ「フォーナイン」を3月に刷新する。サッポロの高島英也社長は「ビール類からの流入を中心に、RTDはさらに拡大していく」と話す。ストロング系で後れを取るアサヒは、果汁を多く使った缶チューハイ「贅沢(ぜいたく)搾り」を2月に刷新する。

 一方で、すっきりした味わいに仕上げてあることで、度数が高い割にアルコールを感じにくい商品も出ており、アルコール依存症につながる危険性を指摘する声も出ている。アサヒの松山一雄専務は23日の記者会見で「適正飲酒への啓発活動も行っていく」と話した。(長橋亮文)