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 冬はインフルエンザがはやるので、初めて高熱を出して熱性けいれんになる子がいます。子どもは熱を出したときにけいれんが起きることがある、ということを聞いたことがある方は多いと思います。

 けいれんする子どもを目にすると慌てるものです。私も娘が3歳のときに初めての熱性けいれんが起きましたが、最初は原因がてんかんなのか、脳炎なのか、当時はヒブワクチンも肺炎球菌ワクチンもなかったので細菌性髄膜炎なのかわかりませんから、驚くとともにとても心配で、私の息が止まりそうになりました。

 そもそも、けいれん(ひきつけとも言います)というものが、どんなものかわからないという人が多いと思います。けいれんは医学用語で、ひきつけはそうではありませんが、いずれも同じ意味に使われます。全身や手足などががたがたと意思に反して動いたり、脱力したります。発作は右手だけだったり、目の動きだけだったりと、体の一部だけに現れることもあります。他の人が触ったくらいでは、その動きはおさまりません。

 けいれんをしている間、意識がある場合とない場合がありますが、熱性けいれんは意識がなくなります。熱があるときや熱がなくても眠いときなどに、一瞬だけビクッとするのはけいれんではありません。

 熱性けいれんは、38度以上の発熱とともに生後6カ月から満5歳までの間に起きるものです。日本人の子では7~11%で起きるとされています。6~7割の子が生涯に一度だけで終わり、繰り返しません。

 一方で、以下にあてはまると、繰り返し起きるリスクが上がります。初めての熱性けいれんが起きたのが1歳未満だった場合、両親の片方あるいは両親ともに熱性けいれんを経験している場合です。熱が出てからけいれんするまでの時間が1時間以内だったり、39度以下という子どもにしては低い発熱でけいれんが起きたりした場合も、繰り返す頻度が上がることがわかっています。

5分超えたら救急車、初めての時は受診を

 もしも、お子さんがけいれんをしたら、体を揺する、たたく、舌をかまないように何かを口の中に入れるということはしません。何かを口に入れることはむしろ誤嚥(ごえん)の危険性があるのでやってはいけません。

拡大する写真・図版イラスト・森戸やすみ

 熱性けいれんは通常、1~2分で終わりますが、5分を超えてけいれんしている場合は救急車を呼びましょう。お子さんが初めてけいれんをしたときには、日中だったらすぐにかかりつけを受診、夜間や休日でも救急外来などにかかりましょう。初めてのときには、その原因が何かわかりませんからね。

 熱性けいれんは終わったあとに、意識はあるもののボーッとしていたり、寝入ってしまったりすることがよくあります。医療機関を受診するまでに意識は戻ってくるはずです。以前に数回起きたことがあり、熱性けいれんだと言われている子は、すぐに受診しなくてもかまいません。

 けいれんする姿を見たらとても驚くと思いますが、できればまずは持続時間を正確にはかりましょう。恐ろしいほど長く感じるものなので、何時何分からけいれんし始めたのか素早くメモしましょう。倒れたり、吐いたりすることがあるので横向きに寝かせます。そして、動いているのが身体の片側だけだったり顔だけだったりという一部分だけなのか、全身なのかを観察します。そうした情報を医師に伝えると、診察の助けになります。

予防の薬はある? ワクチンは大丈夫?

 けいれんしたことのある子には、予防の薬を使いたいと親御さんは思うかもしれません。実は以前は、1回でも熱性けいれんが起きたら、その後も熱が出るたびにけいれん止めの薬を使うことがありました。2015年に日本小児神経学会が熱性けいれん診療ガイドラインを改訂し、けいれん予防の座薬を使うのは以下の時としています。

・15分以上続くけいれんがあったとき

・以下の(1)~(6)のうち二つ以上を満たす熱性けいれんが2回以上あったとき

(1)焦点性発作(体の一部分がけいれんする発作)または24時間以内に反復する

(2)熱性けいれん出現前から存在する神経学的異常、発達遅滞

(3)熱性けいれんまたはてんかんの家族歴

(4)12カ月未満

(5)発熱後1時間未満での発作

(6)38度未満での発作

 言い換えると、こういったことに当てはまらない場合はけいれん予防の薬を使いません。

 また、昔は、けいれんが起きたことのある子は、予防接種を半年間打たないということをしていました。ワクチンの副反応として熱が出る子がいるため、経過観察期間だったのだと思います。

 現在は、そういったことはしません。子どもが小さいときに予防接種がたくさんあるのは、それだけ小さいうちに予防しないと重症になったり亡くなったりすることがあるからです。

 上記のように6~7割の子は、熱性けいれんを繰り返さないので、予防接種は進めた方が良いのです。ガイドラインの予防投薬の適応基準に該当する場合には、予防接種を受ける予定の小児科医に相談しましょう。

 熱性けいれんだけでなく、それ以外のけいれん、てんかん、子どもの頭痛、発達障害など日本小児神経学会がQ&Aで説明してくれています。日本小児神経学会は、子どもの神経に関する専門家の集まりです。病気の名前からだけでなく、症状からも説明文を探すことができます。気になることがあったらまず、こちらを見てみましょう(https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=4別ウインドウで開きます)。(アピタル・森戸やすみ)

アピタル・森戸やすみ

アピタル・森戸やすみ(もりと・やすみ) 小児科医

小児科専門医。1971年東京生まれ。1996年私立大学医学部卒。NICU勤務などを経て、現在はさくらが丘小児科クリニックに勤務。2人の女の子の母。著書に『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』(内外出版)、共著に『赤ちゃんのしぐさ』(洋泉社)などがある。医療と育児をつなぐ活動をしている。