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 法務省は26日、2003年に前橋市で計4人を殺した罪などで死刑が確定した元住吉会系暴力団会長の矢野治死刑囚(71)が東京拘置所の自室で死亡したと発表した。同省関係者によると、遺書のようなものがあったといい、遺体の状況などから自殺とみられる。

 同省によると、拘置所の職員が同日午前7時47分ごろ、単独室の布団の中で首から出血している矢野死刑囚を発見。午前8時10分に死亡が確認された。

 確定判決によると、矢野死刑囚は、暴力団抗争をめぐり組員に指示して、前橋市のスナックで03年1月、元組員1人とその場にいた客3人を銃で射殺させた。さらに実行犯の組員を海外逃亡させようとしたり、銃を山林に隠させたりした。14年に殺人罪などで死刑判決が確定した。

 死刑確定後には、別の2件の殺人事件に関わったと告白する手紙を警視庁に送付。捜査の結果、遺体が見つかったため逮捕・起訴されたが、公判では一転無罪を主張した。東京地裁は18年の判決で、手紙について「殺人実行や共謀に加わっていなければ知り得ない情報が含まれていない」と指摘。被害者の死亡後に死体のある場所を知ったとしても不自然でないとして無罪を言い渡した。さらに手紙送付で捜査が始まることなどから、告白の目的は「死刑執行の引き延ばし」と認定した。東京地検が控訴しなかったため、2件の殺人事件については無罪判決が確定した。(板橋洋佳)