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 将来がんになるリスクを下げるため、遺伝性の乳がんや卵巣がんの患者が受ける予防切除。がんになっていない乳房や卵管・卵巣をとる手術の数(速報値)が26日、わかった。2019年8月時点で乳房切除は85人、卵管・卵巣は175人が受けていた。

 日本遺伝性乳癌(がん)卵巣癌総合診療制度機構(理事長・中村清吾昭和大教授)が、BRCA1、BRCA2という遺伝子に変異があり、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された人を調べた。乳がん患者の3~5%は、これらの変異がある。変異がある女性が生涯で乳がんになる割合は40~90%と全体の9%より高く、卵巣がんになる確率も全体1%に対し、20~60%と高くなる。予防切除をすると、がんになりにくくなり、全体的な死亡リスクも減るとされている。

 19年8月時点で、聖路加国際病院や昭和大病院など機構の認定施設を含む62施設で遺伝子検査をした3517人を分析。約20%の691人にBRCA1、2の変異があった。変異ありの約12%の85人が、乳房の予防切除を受けていた。がんになっていない両方の乳房をとった人も含まれる。卵巣がんのリスクを下げる卵管・卵巣の予防切除は、変異がある人の約25%の175人が受けていた。

 対象の病院数が違うため、単純な比較はできないが、同機構が15年9月~16年8月の1年に7施設で検査をした人を調べると、297人に変異があり、約2割の49人が乳房の予防切除を受けていた。

 今回の調査では、適した治療法を選ぶための検査を受け、がんが遺伝性と判明する人が増えていた。中村理事長はこうした事例に対応できるよう「本人や家族へのカウンセリングを充実させなければならない」と話す。

 乳房や卵管・卵巣の予防切除には、がんを発症したHBOCの人に限って20年4月から、公的な医療保険が使えるようになる。切除を選ばない場合は、がんになっていないかを調べるMRIなどの検査にも保険が適用される予定だ。(月舘彩子)