拡大する写真・図版ナノペーパー機器が畑の湿度情報を集めているイメージ

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 畑の湿り具合を計ってデータを無線で送りつつ、計測が終わったらそのまま土に返る――。そんなIoT(モノのインターネット)機器を大阪大産業科学研究所が開発した。基板や部品の一部に、繊維が極細の紙「ナノペーパー」を使い、土中の微生物で分解されるようにした。回収が難しい場所で、環境に配慮しながらデータを採取したい場合などで活躍しそうだ。

 電子機器の基板は通常、プラスチックを使っているが、回収できないとプラごみとして生物や環境に悪影響を与える。そこで博士課程の春日貴章さんらは、ナノペーパーを基板にしてコイルやトランジスタといった電子部品を並べ、湿度計をつくった。無線でデータも送れ、離れた場所から水をまくタイミングを知ることができるという。

拡大する写真・図版土中の微生物により、180日後にほぼ分解されたナノペーパー機器(左)

 ナノペーパーは研究所で開発された紙で、今回の基板の厚さは約1ミリ。繊維は一般的なパルプの1千分の1の細さのため、表面がつるつるでプラスチックのように使える。微生物によって分解されやすく、金属の部品もさびるため、約40日で95%が土に返ったという。

 ガス感知機能のある部品を開発できれば、火山の噴火口近くのような人が近づけない場所でデータを採取でき、回収も不要という計測機器ができる可能性もある。春日さんは「分解されるまでの期間を調整することが課題」としている。

 論文が昨年10月、米科学専門誌に掲載された。https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.9b13886別ウインドウで開きますで読める。(神田明美)