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科学の扉 胎児のひみつ

 母親のおなかの中で育つ「胎児」。想像をめぐらすしかなかったその日常が、超音波検査技術の発達で観察できるようになってきた。子宮内で治療を施す「胎児治療」の研究も進む。胎児のひみつをのぞいてみよう。

拡大する写真・図版グレースケールで表示される超音波装置で撮影した胎児の頭の断面=増崎英明さん提供

 長崎大学病院の診察室。産婦人科医で同大名誉教授の増崎英明さんが、超音波の装置を出産間近な妊婦のおなかの上で滑らせると、黒いモニター画面に胎児の姿が浮かびあがった。

 頭が上の逆子だった。妊婦のおなかに両手をそえて動かすと、数分のうちに、胎児の頭がくるりと下になった。「外回転術(がいかいてんじゅつ)」という方法だ。これで、出産のときに骨盤に頭がひっかかる危険がなくなった。

 次の妊婦は、胎児の腸がつまる病気で、羊水が多くなっていた。増崎さんは、早産を防ぐために羊水を少し抜く必要があること、胎児の病気は生まれた後に手術が可能なことを告げると、モニターに胎児の顔を映し出した。大きく舌を出した姿に、「あかんべえみたい。すっごい丸々して、上の子たちと同じ顔」。妊婦の顔がほころんだ。

 「超音波検査のおかげで、安全な出産に向けて備えたり、両親に胎児により愛着を感じてもらったりできるようになった」と増崎さんは話す。

拡大する写真・図版超音波装置でみた胎児の顔の立体表示。泣いているように見える=増崎英明さん提供

子宮という密室、超音波が風穴

 超音波は、子宮という密室で羊水の中を漂う胎児の日常を、詳しく解き明かしてきた。

 増崎さんは以前、超音波の装置で胎児の様子を10時間観察し続けたことがある。すると胎児は羊水をのんでは、約1時間おきにおしっこをしていた。膀胱(ぼうこう)の大きさの変化から計算すると、その量はなんと1日に約0・7リットル。羊水をのみこみ、体から落ちた細胞などを腸にため、それ以外はおしっことして出すことで、清らかな羊水を一定量に保つのだという。

 そのため、うんちは生まれるま…

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