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 ミャンマーの少数派イスラム教徒ロヒンギャが迫害されている問題で、丸山市郎駐ミャンマー大使が昨年12月に同国メディアのインタビューに答え、国軍はロヒンギャに対するジェノサイド(集団殺害)をしていないとの意見を表明した。ジェノサイドの有無が国際司法裁判所(ICJ)で争点となる中での発言に、ロヒンギャ側から批判が起きている。

 地元メディアによると、丸山氏は12月26日、精通するミャンマー語で複数の現地メディアのインタビューに応じた。「国軍にはジェノサイドやその意思があったとは思わない」「ミャンマー政府も国軍も、全てのイスラム教徒『ベンガリ』を殺そうとしたとは思わない」と語ったと報じられた。「ベンガリ」はバングラデシュから来た人々を意味し、ミャンマー国籍を与えられていないロヒンギャが「差別的」として嫌う表現だ。

 ミャンマー政府は、国際条約が禁止するジェノサイド行為をロヒンギャにしたとして、アフリカのガンビアによってICJに訴えられており、裁判は数年続く見通し。

 そうした中での現地に駐在する日本大使の発言に、在日ロヒンギャたちは今月、外務省前で抗議活動を展開。ロヒンギャの市民団体も、日本外国特派員協会での会見で「とても失望した」などとコメントした。

 外務省報道官は22日の会見で「(ICJの提訴に)日本として直接コメントする立場にない。ジェノサイドの有無を日本政府として判断する立場にない」と説明。丸山氏は23日、「外務省が見解を示しておりコメントできない」と取材に話した。

 国際人権論に詳しい勝間靖・早稲田大教授は「ジェノサイドに該当するかをICJで審理中にもかかわらず、断定的な発言をすることは不適切。ロヒンギャに対して何らかの迫害があったことは事実であり、現職の大使が非中立的な見解を述べるのは望ましくない」と指摘した。(染田屋竜太=ヤンゴン、鎌田悠)

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