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 あの人が筆をおいてから、1年になる。政権と戦ってきたフィリピンの漫画家、ジェス・アブレラさん(75)。1980年代から30年にわたり、日刊紙インクワイアラーに歴代大統領の風刺漫画を描き続けた。アロヨ氏は顔のほくろを目立たせ、俳優出身のエストラダ氏は黒光りするリーゼント姿でユーモラスに描きながら、汚職や見苦しい言動を辛辣(しんらつ)に批判した。

 ドゥテルテ大統領ももちろん描いた。就任直後の2016年7月の漫画では、「さあ一般教書演説だ」とうれしそうに話すドゥテルテ氏に、もうひとりの登場キャラクターの水牛が言う。「聞けない人がたくさんいて残念だね、あなたの麻薬戦争で殺されて」

 麻薬犯罪撲滅を掲げるドゥテルテ氏の就任後、5千人以上の市民が警官に殺されている。遺族が「麻薬と無関係だ」と訴えても、警官が裁判にかけられるケースはわずかだ。

 勇気ある水牛は、大統領の中国寄りの姿勢にも食い下がった。南シナ海でフィリピン人漁師が中国漁船に脅されても「中国を信頼する」と言うドゥテルテ氏に「僕らは全然信頼していない」。

 人々が公然とは言えない批判や…

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