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 神奈川県庁の行政文書が記録されたハードディスク(HDD)が流出した昨年の問題を受け、データを確実に処分する方法に注目が集まっている。HDDを物理的に破壊するのが一番確実とされるが、パソコンメーカーなどでつくる電子情報技術産業協会(JEITA)では、個人がHDDを物理的に壊すのは、けがの恐れがあると呼びかけている。どんな方法が適切なのか、同協会PC・タブレットユーザサポート専門委員会の長瀬明委員に聞いた。

 ――神奈川県のHDD流出問題では、データ削除を請け負った業者が適切に処分をしていませんでした。

 業者にHDDの破壊を依頼する時には、壊した後に、型番や製造番号を一緒に撮った写真をもらうのが確実だ。今回は業者に渡す前に、県庁側でソフトウェアなどで削除しておくべきだった。

 ――個人の場合、どうすればいいのですか。HDDを壊すのが一番安全と聞きますが。

 専用の機材を使わない場合、HDDを解体して中にあるディスクを取り出し、壊さないといけない。けがの恐れがあるので、個人でやることは推奨はしていない。磁気を発する装置を使ってデータを消す方法もあるが、こちらも専用の機器が必要で個人でやるには向かない。

 ――では、どうすれば。

 市販や、インターネットで無料配布しているソフトウェアを使うのがいいでしょう。他にはパソコンの基本ソフト(OS)をインストールしたDVDやUSBメモリーで、コマンド入力する方法もある。いずれもHDDをただ初期化するのではなく、別のデータで上書きする。企業の機密データなどはランダムなデータによる上書きを何回も繰り返すといった、より複雑な方法をとるが、個人のパソコンのHDDなら一度上書きするだけでも十分効果はある。

 ――上書きすれば安全なのですか。

 データを復元しようとするときは、HDDに残る削除後の痕跡から、元々どんなデータがあったかを読み取る。上書きすることで、この痕跡を読み取れなくすることができる。技術のある人が金や時間をかければ復元は不可能とは言えないが、個人のデータをそこまでして復元することは想定しづらい。一度、上書きしておけば、単にファイルを削除したり、HDDを初期化したりするよりはずっと安全だ。(聞き手・橋本拓樹)

 企業が実際にデータを削除する時にはどんな方法がとられているのか。

 大阪市内のある大企業では、パソコンのデータを削除する市販ソフトが入ったUSBメモリーを各部署に配布している。社員はリースのパソコンが利用期限を迎えたら、そのソフトでデータを消す。パソコンは系列のシステム会社に送られ、そこでデータが残っていないか確認し、性能の良いものは再販。古いHDDなどは破砕処理する。

 市販の削除用ソフトウェアは、数千~数万円で市販されているものまで様々ある。この会社が使うソフトは一つ8万円ほどする。消したデータは、一般的な復元ソフトでは元に戻すことはまずできないという。

 個人の場合、自分でソフトを扱うのが心配なら業者に頼む手もある。日本PCサービス(大阪府吹田市)では、個人のパソコンのデータ削除を1台3万円ほどで請け負っている。パソコンを買い取る際にデータを削除してくれる家電量販店などもある。(橋本拓樹)