拡大する写真・図版森林火災は村の中心部そばまで及んだ=2020年1月9日、豪南東部ウィンジェロ、小暮哲夫撮影

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 オーストラリアの森林火災が、過去最悪の規模に拡大している。延焼面積は日本の国土の約半分の規模に達し、生態系への影響も懸念されている。気候変動が深刻化の背景にあるとみられ、大量に発生する煙が地球の温暖化を加速するとの分析も出ている。

 シドニーから南に150キロ、森に囲まれた人口約600人のウィンジェロ村。気温が40度を超え、強風が吹いた4日の夜、数キロ離れた森林から煙が上がり、空が濃い赤に染まって列車の通過時のような轟音(ごうおん)が響いた。森林火災だった。

 「すべて灰になると覚悟した」

 村で雑貨店を営むデビッド・ブルゲマンさん(55)は、そう振り返った。消防当局は事前の避難を呼びかけていたが、ブルゲマンさん一家は、家や庭に水を十分まけば大丈夫と考えて自宅に残っていた。だが、森林から飛んできた火の粉が自宅や店の周囲に降り、近くの住宅や木にも次々と火が付いた。「手に負えない」と、50キロ離れた町へ車で避難した。

拡大する写真・図版2020年1月4日深夜、豪南東部ウィンジェロ村の中心部に森林火災が迫り、空が赤く染まった(デビッド・ブルゲマンさん提供)

 地元消防隊は自前の消防車2台のほか、近隣から8台の応援を得て消火にあたった。

 村で勤めて20年になるマーク・ウィルソン消防隊長(50)は「火災がこんなにあちこちに広がったのは初めて。数カ月間ほとんど雨がなく、こんなに乾燥した経験もない」と話した。

 火災は翌日までにほぼ鎮火。ブルゲマンさんの家も店も無事だったが、村の住宅11戸が焼失した。「何てことが起きたのか。でも、村のみんなが無事だったことに感謝した」

 グレン・スミスさん(55)は、前日の3日にキャンベラの母親の家に避難していた。火災の知らせに村の中心部にある自分の借家が「本当に心配だった」。3日後に戻ると、家は元の姿をとどめていたが、敷地内に止めてあった大家所有の車5台は燃え尽き、隣家は焼失していた。

 「自分は幸運だった。でも、多くを失った人たちの惨状は見たくなかった」

 複雑な表情でそう語った。

拡大する写真・図版グレン・スミスさんの借家の敷地では大家所有の車5台が焼け、隣家(後方)も焼失した=2020年1月9日、豪南東部ウィンジェロ、小暮哲夫撮影

 豪州各地で昨年8月から相次ぐ森林火災は、全土で日本の国土の約半分に当たる計1800万ヘクタール以上に延焼。逃げ遅れたり、消火活動中に事故にあったりして33人が死亡し、2700戸以上が焼失した。高い気温が続くなどして乾いた木々に、落雷や失火で引火したとみられている。

 野生動物が多く生息する南部のカンガルー島も島の約半分が焼けた。コアラやカモノハシなど豪州固有の動物や生態系に影響も出ている。シドニー大のクリス・ディックマン教授(生態学)は「10億匹の動物が死んだ。多くの種が絶滅するまでの期間を早めるかもしれない」と推計。リー環境相は、コアラが、現在の「危急種」から「絶滅危惧種」になりかねないと指摘する。

 1月中旬の雨で火の勢いは和ら…

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