中国・武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎が広がっています。中国では多数の死者が出ており、ヒトからヒトへの感染も報告されています。日本でも感染が確認され、2人の幼児を育てる筆者は、子ども用のマスクを探して薬局をのぞきましたが、在庫切れと言われました。街中でマスクを着ける人の姿が多く見られますが、正しい装着法ってあるのでしょうか? また、マスクで新型肺炎は防げるのでしょうか? 役立つ予防法とともに、専門家に尋ねました。
武漢市で、公共交通の一部遮断や高速道路の封鎖が行われた今月23日。市内に住む大学教員の男性(30)は「N95」のマスクを求めて薬局をはしごした、と取材に答えました。
「普通のマスクじゃダメだとネットのニュースでやっていたんだ。『N95』じゃないと防げないって」
「N95」って、何ですか?
大手マスクメーカーによると「N95」マスクとは、粉じんやウイルスの吸入を防ぐマスク。名前の由来は、米国労働安全衛生研究所(NIOSH)の規格に合格した、つまり米国規格を満たしたマスクのことです。数字の「95」が使われるのは、直径0・3マイクロメートルの粒子を95%以上除去する効率がある、ということだそうです。0・3マイクロメートルというのは、スギ花粉の数百分の1で、たばこの煙に含まれる粒子と同じです。
中国のSNS上では「『N95』マスクでなければ意味がない」といったニュースが連日流れ、通販サイト「タオバオ」では偽の高性能マスクが出回り消費者の混乱を招いていると話題になっています。
ちなみに日本でN95に相当するのは、厚生労働省が定める規格を満たした、いわゆる「防じんマスク」と呼ばれるものです。
一方で、コンビニエンスストアやドラッグストアで手軽に購入でき、花粉症の時などに使う「サージカルマスク」とは何が違うのでしょうか。
メーカーの担当者は、「『サージカルマスク』は、口からの唾液(だえき)や飛沫(ひまつ)などを飛散させないことを目的に使うマスクです。サージカルマスクはウイルスなどの『吸入』を防ぐことを目的として設計されていません」と説明してくれました。
サージカル(surgical)とは英語で「外科の」という意味で、医師や看護師ら医療従事者が使います。ただ、例えば合併症などがある患者に対する喀痰(かくたん)検査をするときや、結核病棟で診察する場合にはN95が使われます。検査対象の飛沫を吸い込んでしまうのを防ぐ効果があるからです。
では、新型肺炎を予防するには、やはりN95でないとだめなのでしょうか。海外で働く人に医療とセキュリティーのアシスタンスサービスを提供する「インターナショナルSOS」(東京都)を訪ね、葵佳宏医師(42)に聞きました。
――N95マスクで新型コロナ…

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