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 規制すべきかの議論を重ねてきた陸上長距離界を席巻する米スポーツ用品大手ナイキの厚底シューズについて、世界陸連は全面的な禁止を見送る方針を固めたと、英ガーディアン紙が29日伝えた。15日には一部の英メディアが禁止を検討していると伝えていた。

 同社の「厚底」は、クッション性と足を前に押し出す働きの両立に優れる。足への負担を減らしつつ「前への推進力を生む」という触れ込みで人気を博している。同紙によると、トップ選手が公式レースで着用していた製品は認める方向で、31日に詳細を発表する見通しだ。昨年10月の非公式レースで、1時間59分40秒で42・195キロを走ったエリウド・キプチョゲ(ケニア)が履いていた最新作の特注品には懐疑的な見方を示した。

 一方で、混乱を避けるため、東京五輪閉幕まで新技術を搭載した靴の承認は一時凍結するという。その間に、調査プロジェクトを立ち上げ、ナイキ社の靴の効果をあらためて検証するという。将来的には規定を厳格化し、新製品を公式レースで承認する際は、試作品の提出などが求められる可能性も出てきた。

 現行の世界陸連の規定では、レースで使用する靴は「誰でも求めやすい」が原則。航空宇宙産業で使う特殊素材を使うなど大量生産は難しいとされる同社製品に対しては、一部だけが使うのは不公平とし、規制を望む声があった。(ロンドン=遠田寛生)