拡大する写真・図版夫ダニさんと五男ラエドさんの遺影を手にするゼーナブさん(左)と3人の子どもたち。長男ファディさん(左から2人目)、長女タマラさん(同3人目)、六男ユセフさん=2019年10月31日、ベツレヘム、高野遼撮影

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 「禁断の愛を成就させたカップルが、パレスチナにいる」

 そんな話を聞いたのは、昨年10月のことだった。ユダヤ人とアラブ人は、パレスチナ問題をめぐって長く争ってきた。その根深い対立を越えて結ばれた夫婦がいるのだという。

 長らく「敵同士」であるユダヤ人とアラブ人の間の結婚は非常に珍しい。結婚できても、周囲からは常に批判にさらされるのが実情だ。そんな中でも、今回の夫婦は特に珍しいという。

 「なんせ、妻がパレスチナ難民のイスラム教徒。その難民キャンプに、ユダヤ人の夫が嫁いだんだから」

 どんな夫婦が、どんな暮らしをしているのか。私はパレスチナへと向かった。

実家にも明かせなかった結婚

 ベツレヘムのデヘイシャ難民キャンプ。イスラエル建国によって故郷を追われたアラブ人の子孫たちが暮らしている。教えられた家に着くと、妻のゼーナブ・シルマン・マハルミさん(54)が出迎えてくれた。夫の姿は見当たらない。

 「結婚の経緯を教えていただけますか?」。そう尋ねると、「全部話すのに1カ月はかかりますよ」と、ゼーナブさんは笑った。「私たちは、普通に愛し合っていただけなの」。そう言って過去を語り始めた。

拡大する写真・図版ユダヤ人の夫との結婚について語るパレスチナ在住のアラブ人ゼーナブさん=2019年10月31日、ベツレヘム、高野遼撮影

 出会いは15年以上前にさかのぼる。当時、30代後半だったゼーナブさんは、すでに2度の結婚を経たシングルマザーになっていた。

 14歳で結婚したが、夫の家庭…

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