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 参院予算委員会は30日、感染拡大が続く新型コロナウイルスによる肺炎をめぐる政府の対応や今後の影響について、与野党から質問が相次いだ。野党は「桜を見る会」をめぐる安倍晋三首相の「私物化」疑惑を中心に追及。日ロ外交をめぐる質疑も熱を帯びた。

新型肺炎 

 公明党・山本香苗氏 (中国・武漢市から)帰国した方々の中で検査を拒否された方がいた。帰国する前に同意を取っていなかったのか。

 加藤勝信厚生労働相 検査は強制ではない。本人のためにも、と申し上げたが納得されなかった。これ以上、私どもの公的な権限がない。

 山本氏 事前に書面で同意を取っておくことが望ましいのではないか。

 茂木敏充外相 国内での安全を守りたいということを理解いただいた前提で帰ってもらっている。強制ではない中で、できるだけの措置を国内でも取っていく。

 山本氏 風評被害が起きている。

 安倍晋三首相 訪日外国人の多くを中国人が占めている。団体旅行が中止されるなどしており、観光、経済への影響を今後よく見極めていきたい。国民の命を守ることを最優先に、やるべきことはちゅうちょなく決断したい。

 日本維新の会・片山大介氏 中国で亡くなった方の大半は高齢者で、基礎疾患を持っている傾向があったようだが、今その特徴についてどこまで分かっているのか。

 厚労相 現段階でこうだ、と断定できないことは言える状況にはない。

桜を見る会と公文書管理 

 共産党・田村智子氏 2012年の自民党総裁選では地方党員票で、首相が石破(茂)氏を上回ったのはわずか6県。リベンジを果たすべく18年、地方議員を大勢招待したのでは。

 首相 私の事務所の一存で招待者を増やすことは困難。私が総裁選への出馬を最終的に決断をし、表明したのは18年8月。同年4月の桜を見る会の段階では、総裁選への出馬はまったくの白紙だった。

 共産・山添拓氏 森友(学園)問題の反省から(文書管理の)ガイドラインを改定した。改定を受けて、なぜ桜を見る会の名簿は「1年保存」を「1年未満」に短くしたのか。

 大塚幸寛・内閣府官房長 非常に大量な個人情報を保有し続けることで様々なリスクにさらされる。その使用目的を終えれば保存する意義もなくなるからだ。

 山添氏 官邸直結の政治家枠を扱う内閣総務官室だけ(招待者名簿が)残っていないというのは異常だ。

 菅義偉官房長官 あくまでルールに基づいて保存期間を設定し、内閣府の判断で適切な時期に廃棄した。

 維新・音喜多駿氏 公文書管理法に違反した職員は処分されたが、今後の再発防止策についてどのように取り組んでいくのか。

 首相 独立公文書管理監を中心とした各府省におけるチェックの強化など、政府を挙げてさらなる徹底方策について検討していく。

刑事司法制度

 自民党・三宅伸吾氏 我が国には、GPS(全地球測位システム)等を使った電子監視システムが仮釈放の方、釈放されている被告人に対しても導入されていない。法相の見解は。

 森雅子法相 GPSの問題は保釈中(の被告人に対して)もそうだが、性犯罪の被害者等からも以前から(監視の)要望があったので、私も非常に深い関心を寄せている。法制審議会に諮問する前に、大臣室直轄の勉強会を立ち上げて、今検討しているところだ。

 三宅氏 我が国は(日産自動車前会長のゴーン)被告が逃げたレバノンよりは、世界的に見ると極めて高い司法への信頼を受けている。しかしながら、自白をしないとなかなか釈放されない「人質司法」という言葉で揶揄(やゆ)されている。

 法相 我が国の刑事司法制度は、そのような批判をされるようないわれはなく、適正な手続き、運用がなされている。しかし、どの国も、どの制度もいつでも完璧ということはなく、改革をしていく努力は怠ってはならない。取り調べに録画録音も入っており、もしそこで人質司法といわれるような自白に誘導するようなものがあったら、あとから全て検証できるようになっている。

外交・安全保障

 公明・山本氏 防衛省設置法の「調査・研究」に基づいて世界中どこでもいつでも自衛隊を海外派遣できる先例にはならない、ということで良いか。

 首相 総合的に判断していく中で慎重に判断していく。その中で、防衛省の所掌事務の範囲内かも検討した上で今回は判断した。

 山本氏 もう1回確認するが、今回の派遣をもって調査・研究に基づく自衛隊派遣を一般化しないということでいいか。

 首相 一般化することは毛頭あり得ない。

 維新・鈴木宗男氏 1月23日の朝日新聞朝刊で三木(武夫元)首相が、1956年の日ソ共同宣言に至る時の資料を明治大学に寄付し、その資料の中から、(領土問題の交渉継続を明記しない譲歩案を自ら示した)日本側の姿勢が浮かび上がっているが、ご存じか。

 外相 存じ上げている。日ロの戦後70年にわたる様々なやりとり、資料の一つ一つに政府としてコメントする立場にはない。領土問題を交渉して解決し、平和条約を締結する。この基本方針は揺らいでいない。

 鈴木氏 今年5月9日は(ロシアの)対ファシズム戦勝記念日。記念式典にプーチン大統領から首相に招待があった。ぜひ行くべきだと思うが考えはどうか。

 首相 十分な時間を取って日ロ首脳会談ができるか否かの観点も含めて、式典への出席を検討していく。

閣僚の育児休暇

 維新・音喜多氏 育休取得中の議員歳費を自主的に返納することを提案したい。国民の理解を得て育休取得の場を広げていくため、国会改革を前に進めるためにも、議員歳費の一部を被災地に寄付するなどの形で自主返納される気はないか。

 小泉進次郎環境相 国会議員に育児休業(の制度)はない。労働時間の規制、残業そして土日と平日といった考え方もおそらくない。いわゆる育休を取得する時に、(歳費の)返納をどのような理由や根拠でやるのか整理された場合、私は否定するものではない。

同性婚

 立憲民主党・石川大我氏 同性婚制度を作るべきではないか。同性婚を認めないことは差別ではないか。

 法相 婚姻制度のあり方には様々な意見がある。国民がどう考えるかを含めて議論してもらう問題だ。

 石川氏 同性婚について法制審議会にかけて議論してもらいたい。

 法相 国民の議論を待ちたい。(同性の)婚姻を認めるかどうか以外にも、パートナー婚の制度も自治体に広がっている。私は決して否定的なことを言っているのではなくて、国民的な議論を国会でもしてもらいたい。

(ポイント)文書次々 覆る首相説明 永田大記者

 一問一答形式で質疑を行う予算委員会が30日、衆参4日間の議論を終えた。論戦で浮かんだのは、「桜を見る会」をめぐる動かぬ証拠を示されて揺らぐ安倍晋三首相の説明ぶりだった。

 例えば招待状の前に地元事務所が参加のお礼を記して発送した文書。質疑で事実を突きつけられた首相は、事務所が推薦すれば招待されるとの認識があったと認め、「招待者は政府が決める」としてきた答弁との矛盾がはっきりした。国会などでの説明が文書によって後から覆されるパターンは、森友・加計問題や自衛隊日報問題でも繰り返されてきた。既視感を覚える。

 立憲民主党の蓮舫氏は30日、「国政調査権を発揮し、再度の調査を求める」と述べ、憲法62条が定める国会の権利行使の必要性を訴えた。首相出席の予算委は31日以降も続く。あらゆる手段を尽くして真相解明に努めなければ、立法府の責任は果たせない。(永田大)

主な質問

三宅伸吾

=自民

・四国新幹線

・ゴーン被告逃亡

山本香苗

=公明

・新型肺炎

・中小企業支援

・全世代型社会保障

矢倉克夫

=公明

・防災減災

・気候変動

・SDGs(持続可能な開発目標)

音喜多駿

=維新

・新型肺炎

・公文書管理

・育休・労働問題

鈴木宗男

=維新

・千島海溝の地震対策

・アイヌ民族の権利

・北方領土問題

田村智子

=共産

・新型肺炎

・桜を見る会

山添拓

=共産

・桜を見る会

・公文書管理

蓮舫

=立憲

・桜を見る会

森ゆうこ

=国民

・国家戦略特区ワーキンググループ

石川大我

=立憲

・同性婚

高瀬弘美

=公明

・首里城復元

・災害復旧

片山大介

=維新

・新型肺炎

*敬称略