拡大する写真・図版聖地ナジャフのアリ廟(びょう)に続く参道からは、黄金のドームが見渡せる=高野裕介撮影

[PR]

 まるで縁日のようなにぎわいだ。おもちゃ、スカーフ、土産物。さまざまな店が並んでいる。甘い香りが漂う菓子屋の前を、参拝客がぞろぞろ通り過ぎた。イスラム教シーア派の聖地、イラク中部ナジャフ。その中心にそびえる「アリ廟(びょう)」へと続く道は、日本の大きな神社の参道を思わせる。

拡大する写真・図版聖地ナジャフにあるアリ廟(びょう)への参道。多くの巡礼者が訪れるため、アラブの菓子や土産物が売られていた=高野裕介撮影

 境内に入る。「アラー・アクバル(神は偉大なり)」。朗々としたかけ声に合わせ、数百人の男性が神妙な面持ちで礼拝している最中だった。これだけの人がイスラム教の聖地メッカの方を向き、一斉に頭を下げる。一糸乱れぬ動きはまさに壮観だ。

拡大する写真・図版巡礼者でにぎわうシーア派の聖地ナジャフにあるアリ廟(びょう)。建物の美しい装飾に、何度も息をのんだ=高野裕介撮影

 ここには預言者ムハンマドのいとこで、4代目の後継者(カリフ)になったアリのひつぎが安置されている。

 アリは661年に暗殺された。のちにカリフ位は対立する有力者に継承されたが、「ムハンマドの血を受け継ぐアリの系統こそが正統」とする支持者らが「アリの党派(シーア派)」となり、今に至る。ナジャフがシーア派の聖地であるゆえんだ。

拡大する写真・図版アリ廟(びょう)で祈る人たち。カメラを向けられても気にとめず、神聖な時間を過ごしていた=高野裕介撮影

 中をのぞくと、金やクリスタルでふんだんに装飾を施されたひつぎに、大勢の人が押し合いへし合い近づこうとしていた。人々をここまで熱狂させる宗教というものについて、しばし思いを巡らせた。

 床にはじゅうたんが敷き詰められている。聖典コーランを読む人、寝そべる人。みんな思い思いの時を過ごしていた。広報担当者によると、参拝客のかなりの数が、シーア派を国教とする隣国イランから来た人たちだという。

拡大する写真・図版巡礼者でにぎわうシーア派の聖地ナジャフにあるアリ廟(びょう)。じゅうたんに座ると、気持ちがふっと和らいだ=高野裕介撮影

 アリ廟の参道から歩いて数分の所に、れんが造りの家がたたずむ。ここにはイランの初代最高指導者である故ルホラ・ホメイニ師が暮らしていた。

拡大する写真・図版イランの初代最高指導者ホメイニ師はイラクに亡命中、ナジャフにあるこの家で過ごした=高野裕介撮影

 シーア派の法学者として1979年のイラン・イスラム革命を指導したホメイニ師は、革命前の13年間、ナジャフで亡命生活を送っていた。

 居室はそのまま保存されている。館内には、革命時の様子を撮影した写真が展示してあった。

拡大する写真・図版イランの初代最高指導者ホメイニ師が亡命中に住んだナジャフの家。今、1日に700人以上が訪れるという=高野裕介撮影

 イラクとイラン。両国はシーア派とその聖地を通じて深くつながっている。

 その関係は軍事面にも及んでいた。私たちは、シーア派を中心としたイラクの武装組織「人民動員隊」(PMF)の元幹部がさりげなく言った人物の名前に、のけぞることになった。

■殺害されたソレイマニ氏は「シ…

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

有料会員限定記事こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

980円で月300本まで2種類の会員記事を読めるシンプルコースのお申し込みはこちら