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 英国が31日、欧州連合(EU)から離脱する。1952年にEUの前身組織「欧州石炭鉄鋼共同体」が発足して以来、一貫して拡大を続けてきた組織から加盟国が減るのは初めて。欧州統合史の岐路となるとともに、世界経済や国際秩序に与える影響も大きい。

 英国は、英国時間の31日午後11時(日本時間2月1日午前8時)に離脱する。離脱後はEU加盟国の資格を失い、その意思決定に参加できなくなる。欧州議会の英国選出議員は席を失う。EU加盟国は27になる。

 英国とEUとの関係は離脱以降、今年末までの「移行期間」に入る。この間、英国は従来通りEUの単一市場や関税同盟に残留する。英国での市民生活や経済活動に大きな影響はない。移行期間中に、英国はEUとの間で自由貿易協定(FTA)の締結を目指す。互いの市民の権利保護や、環境基準をどこまで合わせるかなどを巡り、時間はかかるとみられる。

 交渉がまとまらないまま移行期間が切れると、高い関税で製造業のコスト負担が増し、食品や医薬品の流通が乱れるなど経済の混乱と市民生活への影響が出かねない。このため、移行期間は最大で2年延長できる仕組み。ジョンソン政権は延長を望まない意向を示すが、難航が予想される。延長の有無の判断は、両者で6月末までに下す。

 EUがこれまで各国と結んだ貿易協定からも、英国は外れる。これを受けて、英国はEUとの交渉と並行して、米国や日本などとの貿易協定交渉も進める。

 先行きが定まらなかった英国のEU離脱問題はこの数年、世界経済に不透明さを与える重しとなってきた。世界の金融センターのロンドンを抱える世界第5位の経済大国が、各国と結ぶ新たな関係に、引き続き金融市場の注目が集まる。

 英国は1973年に、EUの前身組織に加盟。欧州の巨大市場の一角を担う一方で、共通通貨ユーロや、国境の検査なしで人が域内を移動できる「シェンゲン協定」には参加しなかった。EU離脱の是非を問う2016年6月の国民投票で、離脱支持票が52%と過半数を占めた。

 しかし、以後は英国内の政治が迷走。当初の離脱予定日だった昨年3月末は3度延期された。この間、メイ政権は昨年7月に退陣。代わったジョンソン首相は強硬な離脱路線で支持を広げ、昨年12月の総選挙で大勝し、離脱を決定づけた。(ロンドン=下司佳代子、和気真也)

「蛍の光」で別れ 「悲しみ深い」

 離脱には激変緩和のための移行期間がもうけられ、市民生活や経済の混乱はすぐには起きない。だが、すでに経済や人の流れには変化が出ている。11カ月しかない移行期間にEUとの貿易交渉がうまくいくのかも、日本も含めた世界の経済の行方を左右する。

 「我が友よ、過ぎ去りし懐かしき昔のために友情の杯を酌み交わそう」

 29日夜、英政府とEUが結んだ離脱協定案がブリュッセルの欧州議会で可決されると、議場には「蛍の光」の原曲であるスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」を歌う議員の声が響いた。「ここまで来てしまったことを思うと、悲しみは深い」。欧州議会のサッソーリ議長は採決後にそう語った。

 欧州議会では離脱とともに、英…

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