闇の中で燃え上がる炎に包まれる車両。その映像に世界が震えた。
米軍は1月3日未明、イラクの首都バグダッドの国際空港近くで、イランのイスラム革命防衛隊のソレイマニ司令官をドローン攻撃で殺害した。
「シーア派の三日月」
中東で広がるイランの影響圏は、国教のイスラム教シーア派にちなんでこう呼ばれる。「三日月」は米国が「テロ組織」と名指しする親イラン勢力のアメーバ状の広がりに重なる。
イラン側はこの勢力を「抵抗の枢軸」と言う。敵対する米国やイスラエルからの「侵略」を防ぐ協力体制と捉えているのだ。
その対外工作の中核を担ってきた司令官の殺害は、「第3次世界大戦」がささやかれるまでに米イラン関係を緊張させた。
発火点は、イランの支援を受けてイラクで台頭するシーア派主体の武装組織「人民動員隊」(PMF)だ。昨年末、イラクで米軍拠点への攻撃、米大使館への襲撃が続いた。米国はPMFによる犯行であり、そしてソレイマニ司令官が関与したとみた。米軍が司令官と同時に殺害したのは、そのPMFの指導者だった。
私たちは取材班は、以前から「PMFがいつか米国とイランの火種になる」という予感を持っていた。
PMFは欧米側のメディアへの警戒感が強く、その実態が伝えられることは極めて少ない。長い交渉の末、昨年8月、異例の取材許可が出て取材を続けてきた。
私たちの予感は現実となり、まさにPMFは米イラン対立の渦中にある。今、PMFへの取材は不可能に近い。
聖戦の英雄か。テロリストか。
PMF、さらに、「三日月」のなかで共鳴し合う組織の実態を追った。
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朝日新聞デジタルは、プレミアムA「イラン 抵抗の三日月 謎の武装組織を追う」(https://www.asahi.com/special/pmf/)を公開しました。
米国が恐れる謎の武装組織「PMF」。中東にイランの影響力を強めている彼らは、聖戦の英雄かテロリストか。
朝日新聞中東特派員によるルポルタージュや武装組織へのインタビュー、豊富な写真を織り交ぜ、知られざる戦争の火種の実態に迫ります。
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朝日新聞国際報道部