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 戦国武将の上杉謙信、景勝が愛用し、備前刀の最高傑作とされる国宝「太刀 無銘一文字(むめいいちもんじ)」を岡山県瀬戸内市が買い取ることになった。購入費として募っていた寄付が目標の5億円余りに達したため。鎌倉時代に鍛造されたと伝わる地元に戻ることになる。企業の大口寄付に加え、「刀剣女子」たちの後押しが達成の追い風になった。

 「無銘一文字」の号(愛称)は「山鳥毛(さんちょうもう)」。鳥の羽根が躍るようとも、山野が燃えるようとも言われる複雑な刃文から、その名がついたという。鎌倉時代、砂鉄が採れ、良質な刀の産地とされた備前(現岡山県南東部)で作られたとされ、現在は県立博物館(岡山市北区)が県内の個人所有者から寄託を受けている。

 瀬戸内市によると、ふるさと納税やクラウドファンディングを活用した寄付総額は1月26日までで8億239万円(1万4千件超)。返礼品などの経費を除けば5億6838万円となり、山鳥毛5億円に、施設整備費1309万円を加えた目標額を上回った。寄付の期限は3月末までで、目標に達しなければ市は購入を断念する方針だった。

 市が購入方針を発表したのは2018年春。「里帰りプロジェクト」と銘打ち、同年11月から資金調達を始め、2度の期限延長を経ての到達となった。1月27日に会見した武久顕也市長によると、昨年末から寄付は急ピッチで増えたという。市長は理由の一つに昨年10月、「800年ぶりの里帰り」とPRした山鳥毛の特別陳列を市内で開催したことによる機運の高まりを挙げた。

 今後は2月定例市議会に、売買契約についての議案を提出。年度内をめどに山鳥毛の活用計画をつくり、展示方法などを具体的に決める。寄付は3月末まで募り、目標額を上回った分は収蔵先として調整している市内の備前長船(おさふね)刀剣博物館の駐車場整備などにあてるという。

 現在111件ある国宝の日本刀のうち半数近くが備前刀とされるが、県内の所蔵は山鳥毛を含め3件。武久顕也市長は会見で「『日本刀の聖地』としての発信に努めていきたい」と話した。

5億円の壁…新潟・上越市は断念

 「山鳥毛が備前刀のふるさとに戻ることは、文化財保護の面から喜ばしい」

 瀬戸内市の購入決定を受け、上杉氏ゆかりの地、新潟県上越市の教育委員会の担当者はそう語った。

 2015年に所有者が「謙信のふるさとへ刀を返したい」と新潟県に打診。上越市は翌16年に購入方針を決め、鑑定額に基づいて3億2千万円を予算計上して、交渉を始めた。

 上越市は謙信が生まれ育ち、晩年を迎えた地。居城・春日山城跡もある。市民や地元企業からは約1億円が集まったが、「5億円以上」を希望する所有者と折り合いがつかず、市は17年11月に購入を断念した。

 この後、購入に名乗りをあげたのが瀬戸内市だ。

 市の専門家組織は山鳥毛の価値…

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