トランプ氏に誰が勝てる?悩む支持者 大統領選が本格化
11月にある米大統領選に向けて、共和党のトランプ大統領に挑戦する民主党の候補者を選ぶプロセスが現地時間3日(日本時間4日)、アイオワ州の党員集会を皮切りに始まった。民主党内で中道・穏健派と革新系の路線対立も浮き彫りになりつつあるなか、支持者は「誰が勝てる候補か」について悩んでいる。
「この国には癒やしが必要だ。そのために死に物狂いで働く」。1日、アイオワ州シーダーラピッズで、ジョー・バイデン前副大統領(77)は力を込めた。
全国的な世論調査の多くで、中道派のバイデン氏は支持率トップを維持するものの、他の候補を突き放すには至っていない。この日は、中学校の体育館に集まった支持者を前に、国をまとめる力を強調した。
バイデン氏の念頭にあると見られるのは、急進的な主張を掲げるバーニー・サンダース(78)、エリザベス・ウォーレン(70)両上院議員ら、党内の革新系(プログレッシブ)だ。全国世論調査の平均ではサンダース氏が2位、ウォーレン氏が3位に続く。アイオワ州でも、ピート・ブダジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長(38)を含めた4人の混戦が続く。
候補者選びは数カ月かかるが、最初に党員集会を行うアイオワ州は特に重要とされ、各候補が力を入れる。1月18日、ウォーレン氏は州都デモインの集会で訴えた。「株価、大企業の収益は上がっているが、中流や労働者階級、貧困層にどれだけ恩恵がいっているか。答えはゼロだ。経済の構造的な大転換しかない。この選挙は制御不能に陥った米国を取り返す戦いだ」
革新系の両氏の目玉政策は、現在の民間医療保険制度を全廃し、公的な国民皆保険に切り替える「メディケア・フォー・オール」だ。10年で30兆ドル(約3300兆円)もかかる財源は、富豪や大企業への課税でまかなうと主張する。
その理念は民主党でも支持が広がる。アイオワ州エイムズのコンサルタント、アン・キンゼルさん(63)はウォーレン氏を「米国の深い病根にどう立ち向かうか、ずっと考えてきた人。人々は死に物狂いで変化を求めている」と評価する。
しかし、トランプ氏や共和党は「社会主義」「左翼」とレッテル貼りに余念が無い。大統領選では無党派層や中間層の取り込みがカギで、民主党内には、革新系の政策は「過激で実現不可能」との懸念がある。バイデン氏も公的な国民皆保険の財源は実現不能だとし、副大統領として関わった医療保険改革「オバマケア」の拡充を「今すぐ出来る政策だ」と主張する。
デモイン郊外に住む理学療法士ダーク・スワンソンさん(57)は「原理主義的で妥協を許さない革新系は、理念が良くても結局は何も達成できない」と危機感を抱く。ウォーレン氏の集会に出席していた学生のイアン・クラインさん(21)は「希望とチェンジをもたらし、人々を鼓舞する候補者が必要だ。でも、共和党と協力して、分断を修復する候補者も必要。絞りきれない」と明かす。
今回の大統領選で、民主党支持者の多くにとって最も大切なのは、トランプ氏を倒すことだ。それだけに、「好きな候補」よりも「勝てる候補」を優先させる傾向もある。民主党系コンサル会社が昨年行った世論調査では97%が「トランプ氏を倒すことが非常に重要だ」と回答。「ほとんどの政策で賛同できなくても、勝てる候補を望む」と回答した人も38%いた。
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