中国崩壊論が欺いた米国 機密文書と「最も危険な問題」

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峯村健司
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 中国に貿易戦を仕掛けたトランプ米政権の背後にはどんな中国観があるのか。キーパーソンの一人、マイケル・ピルズベリー国防総省顧問に、長年にわたる中国分析の一端を語ってもらった。

統一戦線工作部が担う」

 ――トランプ大統領とペンス副大統領が対中政策の演説をするたびにあなたの名前を出して謝意を述べています。

 「私は数十年間、中国の動向を分析し、そのための特別な訓練を受けた。中国の情報機関や軍とも交流した。政権には『中国は一枚岩ではない』と助言している。強硬派もいれば改革派もいる。内部でどう議論が交わされているのかを理解するのが大切だ」

 ――米国の歴代政権は中国にある種の期待感を抱いてきたようにも思います。

 「中国崩壊論という誤った認識があったからだ。中国政府は1990年代半ばから『水資源は少なくなり、食料や石油も不十分。環境汚染は深刻で、農村ではがん患者が増えている』と強調するようになった。また、中国政府内には権力闘争があり、国家主席はすぐに失脚するだろうという情報もあった。このころ高まっていた中国脅威論を打ち消すために流した作り話だったのだ」

 ――しかし崩壊論は広く浸透しました。

 「偽情報は中国の得意分野で…

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