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 1万年以上前の地球温暖化でシベリア永久凍土が大規模に溶けた証拠を、岐阜大学の勝田長貴准教授(環境変動解析学)らのグループが発見した。現存する永久凍土が過去の地球温暖化でいつ溶けたかを具体的に明らかにしたのは世界で初めてだという。

 永久凍土は、2年間連続して0度以下の凍結状態を保つ土壌。シベリアなど極地のほか、北海道や富士山にもある。2017年には、英国などの国際チームが、地球の平均気温が1度上がると、約400万平方キロメートルの永久凍土が解け出すという試算を発表したこともある。

 勝田さんらのグループは、シベリア永久凍土連続地帯にあるモンゴル北西部のフブスグル湖の湖底に長い時間かかって堆積(たいせき)した土の成分を調べることで、土が積み重なった当時の環境を解読できないかと考え、研究を始めた。

 湖の底に約1万9千年前から堆積した土を採取して化学的に分析したところ、1万3700年前と1万1千年前の2回、土の中の硫黄含有量が急激に増えていた。勝田さんらは、この原因を、永久凍土が溶けて流域から水が流れ込んだことによるものだと考えた。

 永久凍土の中では、硫酸還元バクテリアが硫酸イオンを用いて有機物分解を行うが、その影響が硫黄の化学組成に反映される。永久凍土が融けると、その硫酸イオンを含む水が周辺の湖沼に流れ込むので、湖沼の水や湖底の泥は、通常とは異なる化学組成の硫黄を高濃度で含むことになる、という原理だ。

 さらに、土の粒の大きさを調べたところ、過去に湖の中で地すべりが起きていたことが分かった。地すべりの原因も大規模融解によって永久凍土の融解水が供給されたことによるものと考えられることから、この周辺の永久凍土は最終退氷期(1万5千年前~8千年前)の温暖化で融解し、特に1万3700年前と1万1千年前の2回、大規模融解が起こったと結論づけた。

 勝田准教授は「今回の手法を用いてもっと古い堆積物を調べることで、過去の気候変動で永久凍土がどう変化したのかを知る手がかりになる」と話した。

 論文は米地球物理学連合の国際誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズに掲載された。(山野拓郎)