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日本人で初めてミシュランガイド仏版の三つ星を獲得した小林圭さん(42)

 高校1年生のころ、フランスの「三つ星シェフ」のテレビ番組を見て、優雅なエプロン姿にあこがれた。高校を中退し、地元長野県内の仏料理店に修業を願い出た。料理長に「休みはないし給料も低い。よく考えて3日後に電話しろ」と言われ、翌日に電話した。

 両親は料理人だったが、料理は教わらなかった。店では鍋洗いから始め、1日3食、週20回、20人分のまかない料理を任された。「ここで一生分怒られた」

 21歳で渡仏した時には、星つきの店で肉料理を任されるだけの腕前になっていた。2003年、三つ星シェフのアラン・デュカス氏の店に移った時は「戦争だった」。30人の料理人はみなフランス人。誰もが上の地位を求める中で、調理の工程を見通す視野の広さと、「絶対にミスしない正確さ」を武器に副料理長に上りつめた。

 パリのルーブル美術館近くに11年、テーブル10卓ほどの店「KEI」を開いた。ミシュランガイドで高く評価されたドーム状の創作料理「野菜の庭」を味わおうと、いま世界から1日千件もの問い合わせが届く。「三つ星はあくまでミシュランのもの。それがすべてではない」。目指すのは客の記憶に残るひと皿だ。

 「食べれば終わりと言われるけど、本当にいい料理は一生脳に残る。命を奪ってしまった食材を、お客さんの頭で生き返らせる仕事なんです」(疋田多揚)