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 イランの国民的英雄だったイスラム革命防衛隊のソレイマニ司令官らが今年1月、イラク・バグダッドで米軍に殺害された。これを機に米イラン関係は一時、全面戦争が懸念されるほど極度に緊張が高まった。

 なぜ、司令官はイラクにいて、そして殺されたのか。それを知るキーワードが「シーア派の三日月」だ。イランが築きあげた「代理勢力」が中東をまたぐように広がる状況を示す。イランの狙い、米国が抱く恐れは何か。

■イランが中東に関与する理由

Q イランはいつから近隣国に関与し始めたのか。

A イランが中東の他国へ関与した契機は、1979年に親米の王制を打破したイスラム革命における反イスラエル政策だ。革命前のイランとイスラエルは親米国家として、重要なパートナーだった。だが、「革命の輸出」を掲げたイランの初代最高指導者ホメイニ師が「イスラエル占領下で苦しむパレスチナ人を解放する」と主張。革命直後にイスラエルと断交した。

 イランは、1980年代以降、反イスラエル闘争を続けるイラン国外の武装組織への支援を始めた。代表的なのが、レバノンのイスラム教シーア派組織「ヒズボラ」だ。2万人以上の戦闘員を誇るとされるヒズボラはイスラエルと何度も戦闘を繰り返してきた。最新鋭の軍備を有するイスラエル軍と互角に渡り合い、レバノン南部から撤退させるほどの強力な組織へと成長した。

【動画】「イラン 抵抗の三日月」=其山史晃、高野裕介撮影、PMF提供(銃声を含む音声があります)

Q よその国の武装勢力をどうやって支援するのか。

A 支援を担ったのが、最高指導者直属の精鋭部隊・イスラム革命防衛隊だ。中でも、米軍に殺害されたソレイマニ司令官は、対外工作を専門とする「コッズ部隊」を率い、イラクやシリア、レバノンなどの親イラン勢力への支援や訓練を担い、「三日月」形成に深く関わってきた。

Q 影響圏を広げようとするイランの狙いは何?

A まず、背景に石油の利権をめぐって欧米列強からの干渉を受けてきた歴史がある。干渉を防ぐために、地域のイスラム勢力が結集して対抗するという考えがある。最高指導者ハメネイ師は、親イラン勢力のネットワークを「抵抗の枢軸」と呼ぶ。

 イラン歴史研究・編纂(へんさん)センターのアッバス・サリミ所長(歴史学)は、「(介入は)イランの独立性の確保につながる」とし、「イランの国外への介入は外国勢力の侵略を避けるために(旧ソビエトの衛星国家のような)緩衝地帯をつくるという意味もある」と分析する。

■ペルシャの誇りと反米意識

Q 中東にはアラブ人主体の国が多いが、イランとは何が違うのか。

A 古代ペルシャ帝国を作りあげ…

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