拡大する写真・図版2015年に閉鎖された製鉄所。ジョンソン政権は跡地の活用に向け投資すると発表した=2020年1月17日、英イングランド北東部レッドカー、下司佳代子撮影

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 河口にそびえる廃虚は異様だった。

 ロンドンから列車を乗り継ぎ、4時間かけてたどり着いたイングランド北東部のレッドカー。町のシンボルだった製鉄所は、親会社のタイ鉄鋼大手SSIが経営破綻(はたん)した2015年に閉鎖された。今も溶鉱炉やコークス炉などが残るが、敷地内に人の気配はなく、潮風以外に音もなく、においもしなかった。

 170年続いた製鉄業の火が消え、コミュニティーは傷ついた。地方議員らが作成した報告書や地元メディアによると、2200人が職を失い、多くは公的支援を受けて別の仕事に就いたり自ら事業を起こしたりしたが、工員として培った技術は生かせず、収入は激減。家族関係がこじれ、健康を損ない、自ら命を絶つ人も出た。消費の落ち込みで地元の経済にも打撃を与えた。

 そこに年明け、朗報が舞い込んだ。ジョンソン政権が、製鉄所跡地を含む1800ヘクタールの広大な土地をビジネスパークとして再生させる計画に7100万ポンド(約100億円)を投資すると発表した。欧州連合(EU)からの離脱を機に、地方を「底上げ」し、豊かなロンドンとの格差を是正しようという政権の姿勢を象徴するもので、40年までに2万人の雇用創出をめざすという。

 地元は歓迎している。元工員の…

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