江口英佑、上地兼太郎
日本製鉄が赤字に転落し一貫製鉄所の閉鎖を含めた大リストラに踏み切る。最大手の危機は、業界が「冬の時代」に入ったことを象徴している。
拡大する日本製鉄の呉製鉄所=2020年2月5日午前10時49分、広島県呉市、朝日新聞社ヘリから、小杉豊和撮影
日鉄は、呉製鉄所では高炉の2基をいずれも止めるだけでなく、加工などの設備も含めた製鉄所すべてを閉じる。高炉を備えた一貫製鉄所を大手が完全に閉鎖するのは極めて異例だ。地元には動揺が広がっている。
呉製鉄所の雇用は従業員約1千人。協力企業を含めると約3千人にのぼる。取引先の中小企業の社長は「街の疲弊がさらに進み、人口流出が進みかねない」と話す。
日鉄の右田彰雄副社長は7日の記者会見で「雇用確保を最優先にしていきたい」「希望退職(の募集)についてはまったくやる考えはない」と強調したが、地元の不安はぬぐえそうにない。
拡大する呉製鉄所の全面休止などリストラ策を発表する日本製鉄の右田彰雄副社長(右)=2020年2月7日午後、東京都中央区、上地兼太郎撮影
波紋は呉だけではない。日鉄が生産を休止する設備は、和歌山製鉄所(和歌山市など)にある高炉2基のうち1基を含め、全国に及ぶ。呉製鉄所を営む日鉄日新製鋼はもともとは独立した会社だが、日鉄本体への合併を4月に控えている。和歌山は、2012年10月に事実上吸収した住友金属工業の基幹製鉄所だ。
再編相手に配慮してきた業界の盟主がカジを切る背景には、業績の急速な悪化がある。20年3月期決算の純損益見通しは、従来の400億円の黒字から4400億円の赤字に大きく引き下げた。赤字幅は過去最悪という。
悪化の要因は複数ある。地球温…
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