【動画】日本製鉄の呉製鉄所=依知川和大撮影
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 60年近くともされ続けた高炉の火が消える――。長く呉市の経済を支えてきた日鉄日新製鋼呉製鉄所は、2021年度に全2基の高炉を止め、23年度には閉鎖される見通しとなった。「まさか仕事場がなくなるとは」。あまりの衝撃に、地元は息をのんだ。

 7日午後、呉製鉄所。どんよりとした寒空の下、仕事を終えた人たちが足早に門から出てきた。

 「高校を卒業してからずっとですから、寂しいですね」。18歳で日新製鋼(当時)に就職し、定年後も協力会社の従業員として製鉄所に通い続ける60代の男性は嘆いた。「私らは年金でどうにかなるかもしれないけど、若い人たちは……」

 運輸系の子会社に勤め、3年前に呉市近郊に持ち家を新築したばかりという40代の男性は、帰りのバス停に向かう途中で足を止め、こぼした。「独り身じゃないですしね。赴任先次第では退職も考えんと。家に帰って家族と相談します」

 製鉄所の閉鎖は、製鉄所や子会社の社員に加え、「協力会社」と呼ばれる下請け企業の従業員の雇用も直撃する。

 合わせて約3300人が働くのは、基幹の製鋼工程にとどまらない。鉄鉱石や石炭を貨物船から揚げる港湾荷役、それらを運ぶ運輸業、プラント設備の更新を担う建設業――。飲食業や事務機器リースなど出入り業者を含めれば、関連企業は呉市と周辺に網の目のように広がる。

 取引先まで含めると、影響はさらに甚大だ。

 帝国データバンク広島支店によると、日鉄日新製鋼などグループ6社との取引企業は県内に117社。全体の従業員数は約1万8千人に上る。同支店は「非正規雇用者を含めると、さらに多い」と指摘する。

 首長たちは衝撃を隠せない。

 「大変残念に思っている」。呉市の新原芳明市長は日本製鉄の発表を受け、硬い表情で取材に応じた。この日午前、日鉄日新製鋼の柳川欽也社長と呉市内で面会したという。呉製鉄所とその子会社の社員については雇用を確保するとの説明を受けた。協力会社への対応についても「できるだけのことはする」との言及があったという。

 「事前に情報提供もなく、決定事項として発表したのは遺憾」。県庁で取材に応じた湯崎英彦知事は、不信感をあらわにした。湯崎知事も柳川社長と面会し、呉市と同様の説明を受けたが、「簡単に理解できるものではない」と答えたという。

 県と呉市は10日、国なども交…

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