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そして彼は1人で逝った 武漢「隔離ポイント」の惨状

有料記事新型コロナウイルス

今村優莉 上海=宮嶋加菜子
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 新型コロナウイルスによる肺炎が深刻な中国・武漢市は、市内のビジネスホテルなどを「隔離ポイント」に指定し、病院で受け入れ切れない感染者を収容している。自宅での感染拡大を防ぐ狙いだが、医療サポートはおろか家族の支えからも引き離される現実に、当事者から悲痛な声が上がっている。

 「現状を伝えたい。父を助けたいんです」

 武漢市に住む主婦の王文君さん(33)は、朝日新聞の電話取材に実名で応じた理由をこう話す。

 1月30日、自宅前に止まったパトカーを見て、王さんは「これで助かる」と、胸をなで下ろした。

 一緒に暮らす父の王相凱さん(61)とおじの王相酉さん(63)が発熱。病院で新型ウイルスに感染している可能性が高いと診断されたが、ベッドが足りないとして入院を拒まれた。

 仕方なく2人は自宅に戻ったが、30日朝、相酉さんの容体が急変。激しい呼吸困難に陥り、自力で歩けなくなった。

 王さんが、地区の行政サービスを担う担当者に窮状を訴えると、「隔離ポイント」に行くことを勧められた。「医療関係者が常駐し、症状が悪化すれば入院手続きをしてくれる」という話だった。王さんはすぐに父とおじを収容してもらうよう、手配を頼んだ。

 父とおじは別々の個室に収容されたが、その夜、父が電話で王さんに訴えた。

 「医者も看護師もいないただ…

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