ステージ4、退院1カ月半でリングへ 1試合でも出たい
黒田壮吉
退院からわずか1カ月半でリングに戻ってきた。1月下旬、東京・新宿であった総合格闘技のイベント。高須将大(しょうた)さん(26)の名前がコールされ入場すると、500人以上の観客から歓声が上がった。「リングでは普段の生活では味わえない熱いものがわきあがってくる。ここに戻りたいから、がんとも闘える」
格闘技との出会いは20歳の時。会社の寮の近くにあった道場に通い始め、代表に「プロを目指さないか」と言われて、その気になった。仕事以外の時間は練習とトレーニングに明け暮れ、2017年3月、プロ2戦目で初勝利をおさめた。
異変が起きたのは、その3カ月後。練習中に負傷した脇腹の痛みがひかず、受診した病院で肝臓に約10センチの腫瘍(しゅよう)が見つかった。7月に摘出手術をしたが、9月に再発。肺にも転移し、ステージ4と診断された。
「もう死ぬのか」。複数の医…

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