[PR]

 医療用かつらの製作に役立ててもらおうと、新潟県上越市の小学4年生が11日、3年近く伸ばした髪を切り、無償提供した。東南アジアで無料診療を続ける歯科医の父に憧れ、「自分にできるボランティアを」と考えて髪を伸ばし続けてきた。

 髪を提供したのは、上越教育大付属小学校4年の羽尾(はお)光博君(10)。「ヘアドネーション」と呼ばれる活動で、長さ31センチ以上の髪が必要という。高校生世代に少しずつ広がり始めたが、パーマや毛染めをしていない子どもの髪は貴重とされる。子ども世代は全体の1割程度で、男児は珍しいという。

 羽尾君は2017年4月から髪を伸ばし始めた。温泉などでは「女の子?」と奇異な視線を投げかけられたり、友だちらにからかわれたりしたこともあった。学校やバスケットボールのクラブ活動では長い髪を編み込み、洗髪の時は生え際はしっかり洗う一方、髪が傷まないよう毛先などは泡を付けて流すだけ。風呂上がりに髪を乾かすのに10分以上かかることもあったという。

 この日は父博嗣(ひろつぐ)さん(46)の知人の美容院を訪れ、500円玉大の太さに束ねた長さ三十数センチの髪に、家族が交代ではさみを入れた。短い髪形になった羽尾さんは「身軽になった。家族が見守ってくれたからできた。人の役に立てることは何かを考えて行動していきたい」と話した。

 博嗣さんは「ありがとう、よくやったとの思い。私も息子からボランティア活動への力をもらった」と目を細めた。髪を切ったばかりの羽尾君に「ヘアドネーションをもう一度、と言われたら」と聞いてみた。しばらく考えて「仲間がいて、活動の輪が広がるなら(挑戦したい)」と答えた。(松本英仁)