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 きのこのふりをして、きのこに卵を産むハエを誘い込む。そんな花がタマノカンアオイだ。関東西部で見られ、春先、地際に濃紫色で直径3~4センチの花を咲かせる。

拡大する写真・図版タマノカンアオイの花に来た小さなキノコバエ(中央)。体に花粉をつけている(奥山雄大さん提供)

 国立科学博物館の奥山雄大研究主幹は、カメラを花の前に置いて2分ごとに自動撮影し、ハエが来たタイミングをとらえた。花を訪れたキノコバエの背中が黄色っぽいのは、花粉がついているから。「この虫が花粉を運ぶことの証拠だ」。タマノカンアオイは繁殖のため、キノコバエに受粉を手助けさせる。

拡大する写真・図版タマノカンアオイは、雑木林の地面に緑色の葉を広げ、その陰に花を咲かせる

 この花の花粉の運び主がキノコバエの仲間であることは、菅原敬・首都大学東京准教授が1988年に報告した。ハエをだますポイントは花のにおいにあるらしいが、詳しいことはまだ分かっていない。

 カンアオイ類は日本に50種以上あるが、運び主がはっきりしているのはタマノカンアオイだけ。「ほかもハエの仲間が有力と思われ、調査を重ねたい」と奥山さんは話す。

拡大する写真・図版タニムラアオイ。鹿児島県徳之島の石灰岩地に自生する。花は白い=奥山雄大さん提供

■世界のカンアオイの仲間の約半…

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