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 近年、民主主義の危機が盛んに指摘されるようになった。確かに世界を見渡すと民主主義の旗色が悪そうだ。成熟した欧米民主国家では不平等や移民問題を背景に排他的なポピュリズム政党が伸長する一方、経済発展に自信を深める中国など新興国では、独裁的な権威主義が台頭している。国内に目を向けると、政権にとって不都合な公文書の改ざんが露見するなど、民主主義の基盤自体がぐらついている。民主主義は限界を迎えているのか。欧州政治に詳しい吉田徹・北海道大教授の話をもとに現状を整理し、先進国で民主主義が揺らいでいる理由を考える。

吉田徹・北海道大教授に聞く

拡大する写真・図版「米国を偉大なままに!」などと書かれた紙を掲げ、トランプ米大統領の選挙集会に参加する支持者=昨年6月18日、フロリダ州オーランド、ランハム裕子撮影

 いま、何が起きているのか。「民主主義の後退、衰退、劣化、反動などが盛んに指摘されています」と吉田さんはいう。

 スウェーデンの調査機関V―Demは毎年、選挙、自由、政治参加、熟議、平等という指標に基づき、各国の民主主義の度合いを数値化している。2019年の報告書によると、世界約100カ国の民主主義が機能する一方、08年以降の過去10年で米国や東欧、ブラジル、インド、トルコなどの地域大国で民主主義が大きく後退。世界の人口比で3分の1に当たる24カ国は、独裁・専制や全体主義などの権威主義に分類され、一部は経済的に台頭している。

 報告書によると、各国で起きているのは民主主義の基盤となる表現の自由や法の支配の軽視だ。米国やハンガリーではメディアへの介入など政権の世論対策が強まり、ロシアや中央アジア諸国では定期的な選挙はあっても政権の選挙への介入が問題となっている。

 民主国家における民意と、国際社会が戦後築き上げてきた国際協調主義がかみあわなくなり、様々な混乱も招いている。米トランプ政権は自国第一主義を掲げ、英国は欧州連合(EU)離脱を決めた。難民・移民問題を抱えるフランスなどの欧州各国では排他的なポピュリズム政党が伸長している。一方で、共産党一党独裁政権の中国が経済大国として国際社会での影響力を高めている。

絶頂から30年、民主主義は踊り場に

 民主主義はどういう歴史をたどってきたのか。

 吉田さんによると、歴史上、世…

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