拡大する写真・図版空中で技を決める松藤りのんさん=2020年1月22日午後、大阪市中央区の「スポタカスケートボードパーク」、細川卓撮影

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 東京五輪の新競技「スケートボード」が女性から注目されている。写真や動画の共有アプリで情報交換したり、ストリートファッションを楽しんだり。トリック(技)の習得に励む本格派もいる。女性の好奇心をくすぐる、その魅力とは。

 1月下旬の平日夜、大阪・アメリカ村の商業施設の地下にある「スポタカスケートボードパーク」。ハーフパイプやブロックが並ぶ約660平方メートルの空間は、車輪が転がる音が重なり、熱気に包まれていた。

 華麗に連続技を決めていたのは大阪市の小学5年、松藤りのんさん(10)。2年ほど前、父や近所の人たちがスケボーを楽しむ姿を見てやってみたくなった。「失敗して転んだら痛いけど、できる技の組み合わせが増えて楽しい」と目を輝かせる。

 スポーツ用品店のスポタカが店舗を道頓堀から2015年にアメ村に移転した際、パークを新設した。当初は男性の利用者ばかりで、男性や上級者でなくても入りやすいように、女性限定の利用日を設けたという。

 初心者向けの教室(定員15人)でも女性が約3割を占め、半数が女性の回も。子どもの付き添いで来た母親が「うずうずして」と始めることもあるという。

拡大する写真・図版空中で技を決める佐藤虹歩さん=2020年1月22日午後、大阪市中央区の「スポタカスケートボードパーク」、細川卓撮影

拡大する写真・図版空中で技を決める佐藤虹歩さん=2020年1月22日午後、大阪市中央区の「スポタカスケートボードパーク」、細川卓撮影

服や靴にこだわり

 最近は、写真や動画の共有アプリ「ティックトック」や「インスタグラム」でスケーターを目にして、挑戦する女性が出てきた。アプリは女性スケーター同士がコミュニティーを作る後押しにもなっている。かっこよく決めた技を投稿したり、練習場所の情報交換をしたり。インスタでは「#スケボー女子」で多くの投稿が見られる。

 スタッフの佐藤虹歩(にじほ)さん(20)は「スケボーは自分次第で無限に技を生み出せて達成感でやみつきになる。やってみないとわからないのもスケボーの良さ。思い切って飛び込んで来て」といざなう。

 スケボーは街中で音楽やファッションとともに自由に滑って楽しむ「ストリート文化」として親しまれてきた。NPO法人「日本スケートパーク協会」(東京)によると、スケボー用のスペースを設けた公園などの公共施設は全国で約100カ所に上る。16年夏に東京五輪の正式種目に決まった影響もあり、スポーツ用品店やバーに併設された民間施設も各地でオープンしている。

拡大する写真・図版パークに集まったスケーターたち。女性や子どもの利用も増え続けているといい、性別や世代を超えて楽しんでいる=2020年2月7日午後、大阪市東成区の「HMC SKATE PARK」、筋野健太撮影

 大阪市東成区の屋内スケートパーク「HMC SKATE PARK」は大阪では専用施設が珍しかった13年の開業。未就学児から大人まで世代を超えて技を教え合いながら楽しむ。初心者が気軽に始められるようボードや防具は無料で貸し出している。

 服や靴に自分のこだわりを持つ人も少なくない。1カ月前に友人に誘われて始めた大阪市平野区の会社員、竹谷春希さん(19)はインスタで女性スケーターの着こなしやボードを見て参考にしている。「滑るのが楽しそうで始めた。ストリートファッションも好き」

 五輪の正式種目に決まった16年ごろからスクールに参加する女性が増え続けているという。オーナーの男性(46)はその理由を「テレビなどで露出が増えたことと、(世界のトッププロが集結する大会の)X(エックス)ゲームで日本人の女の子が活躍したからでは」と話す。

 女子の昨年11月の世界ランキングでは、くぼ地状のコースで競う「パーク」でMKグループに所属する中学生の岡本碧優(みすぐ)選手(13)が1位、和歌山県の伊都中央高校の四十住(よそずみ)さくら選手(17)が2位。階段や手すりのような構造物のあるコースで競う「ストリート」でも木下グループの西村碧莉(あおり)選手(18)が3位と日本勢は東京五輪でもメダルが有力視される。

 3年前にスケボーを始め、HMCに通う小学6年の古石(こいし)心花(ここも)さん(12)は、五輪を機に同級生や友だちの中にスケーター仲間が増えることを期待している。「スケボーをする女の子がもっと周りで増えたらうれしい。みんなで滑るとうまくなるし、楽しいから」(関宏美、富岡万葉)

拡大する写真・図版パークで思い思いに技を決めるスケーターたち。女性と子どもの利用も増え続けているという=2020年2月7日午後、大阪市東成区の「HMC SKATE PARK」、筋野健太撮影

拡大する写真・図版自分なりのファッションやボードにもこだわるスケーターたち。性別や年代に関係なく一緒に楽しんでいる=2020年2月7日午後、大阪市東成区の「HMC SKATE PARK」、筋野健太撮影

ストリート文化として人気に

 スケートボード 米国西海岸で1940年代に木の板に鉄の車輪をつけて滑った遊びが起源とされ、日本でも70年代にブームに。音楽やファッションと密接につながる「ストリート文化」として若い世代を中心に人気を誇る。スポーツとしての認知度は低かったが、国際オリンピック委員会(IOC)は若年層の「五輪離れ」への危機感から、東京五輪の追加種目に選んだ。出場選手は5月にある国際大会を経て6月のランキング上位者から選ばれる。男女とも米国やブラジルの選手らとのメダル争いが予想される。