思い出の服、かけつぎの魔法で復活 父娘の技に世界驚く
松浦祥子
虫食いやたばこの焦げ穴、引っかけて出来た傷……。大切な衣服の傷を修復する「かけつぎ」の技術で世界を驚かせた親子がいる。岐阜県美濃加茂市でかけつぎ工房「織和(おりわ)技研」を営む片岡鉄舟さん(76)と次女の後藤佳子さん(42)だ。米国の日米交流団体から「信じられない修復技術」などと紹介され、SNSなどを通じて瞬く間に世界に広がった。
昨年5月、ニューヨーク。約200人の観衆が静かに見つめる中、佳子さんは針を握っていた。2センチほどの穴が開いた綾(あや)織りのウール生地に、糸を一本一本通していく。
「緊張して手元が震えた」
みるみるうちに穴がふさがっていく。鮮やかな手さばきに、会場から「おー」という声が漏れ、大きな拍手が起こった。
きっかけは一つの依頼から
数カ月前までこの舞台に立つ…